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プロ野球

【パ・リーグ編】実力と球団事情から“ドラ1新人”の「2021シーズン」を占う!〈SLUGGER〉

西尾典文

2021.02.03

楽天:早川隆久(投手・木更津総合高→早稲田大)

 4球団が競合した投手の目玉。高校時代からU18侍ジャパンに選ばれているようにセンスの良さは抜群だったが、4年春から一気に凄みが増した。ボールの出所が見えないフォームから150キロに迫るストレートをコーナーいっぱいに投げ込み、打者の手元で鋭く変化するスライダー、チェンジアップも一級品。最終学年の成績に限れば、最近東京六大学からプロ入りした選手の中でも突出している。もちろん期待は1年目からのローテーション入りだが、大学で安定していた期間が短いのは不安要素。4年春のシーズン前には肘の不調も訴えている。ただ田中将大が復帰して先発投手陣の層は厚くなり、無理使いを避けられるというのは本人とってもプラスになりそうだ。

日本ハム:伊藤大海(投手・駒大苫小牧高→苫小牧駒沢大)

 駒沢大を1年秋に中退して苫小牧駒沢大に再入学してから大きく才能が開花した大学ナンバーワン右腕。大学日本代表では2年時から抑えを任され、一昨年の日米大学野球ではメジャーで上位指名を受けた打者も圧倒した。リーグ戦では先発でも盤石の結果を残しており、長期間高いレベルを維持してきたという点では早川以上の安心感がある。今のところ起用法は明言されていないが、先発、リリーフどちらでも対応できる可能性が高い。リリーフであればチームの大きな弱点であるクローザーをいきなり担うことも期待できるだろう。
 
オリックス:山下舜平大(投手・福岡大大濠高)

 スケールの大きさでは高校球界随一と評判だった大型右腕。190cm近い長身の堂々とした体格から投げ下ろすストレートはコンスタントに140キロ台後半をマークし、ボールの角度も目を見張るものがある。プロでより大きく成長するために高校時代はカーブ以外の変化球を封印していたという点からも大物ぶりがうかがえる。大舞台での経験は乏しく、細かい技術は同じ高校生ドラフト1位の高橋宏斗(中日)と比べると差があるだけに、まずは二軍でプロレベルのボールを増やすことが先決となる。早くても2年目の後半、現実的には3年目から一軍の戦力という計算が妥当だろう。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
 

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