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MLB

MLB史上最大のスキャンダル――100年前に全米を震撼させた「ブラックソックス事件」とは?【ダークサイドMLB】

出野哲也

2020.02.04

 3回までは難なく抑えていたシコットは、4回に突如崩れて集中打を浴び、チームは1対9と大敗。捕手のレイ・ショークは「シコットはサイン通りに投げなかった」と憤り、監督のキッド・グリーソンもオーナーのチャールズ・コミスキーに「何かがおかしいです」と報告した。ア・リーグ会長のバン・ジョンソンと不仲だったコミスキーは、ナ・リーグ会長のジョン・ヘイドラーに相談したが、具体的な行動は起こさなかった。第2戦も普段は制球の良いウィリアムズが四球を連発して敗れ、シリーズは仕組まれているとの声があちこちで聞かれ始めた。

 第3戦は工作と無関係のディッキー・カーが完封勝利を挙げたが、4、5戦は逆に連続で完封負けし、1勝4敗と王手をかけられた(その年のワールドシリーズは9回戦制だった)。しかしホワイトソックスはここから奮起して連勝、しかも第7戦はシコットの1失点完投勝利だった。ギャンブラー側からの金の支払いが滞っていたため、彼らは本気を出したのである。だが、第8戦は脅迫を受けたウィリアムズが早々にKOされ、レッズが5勝3敗で初の世界一を手にした。

■裁判では無罪の8人。球界からは永久追放

 なぜホワイトソックスの選手たちは、禁断の行為に手を染めたのか? もちろん、その理由は金銭であった。その頃のホワイトソックスは、コミスキーお気に入りの主流派とそれ以外の選手たちに二分されていた。八百長の実行犯はみな後者で、前者のコリンズやショークら(のちに彼らは〝クリーンソックス〞と呼ばれた)は待遇面でも厚遇されていた。アスレティックス時代からスターだったコリンズの年俸1万5000ドルは、シコットとジャクソンの2人を合わせた分と同額だった。
 
 実は、巷間で伝えられていたほど、ホワイトソックスの選手の年俸は低かったわけではなく、コミスキーも特筆するほど吝嗇だったわけでもない。だが、コリンズらと比較するとチーム内での年俸格差があったのは確かで、非主流派の不満の種になっていた。敗退行為の報酬は当初2万ドルという話だったが、実際に受け取った金額は5000~1万ドルで、主犯のギャンディルだけが3万5000ドルをポケットに収めていた。

 不正の代償は大きかった。疑惑は年が明けても収まらず、シーズンを通じてずっとくすぶり続けた。そして20年のシーズン終了直前、別の八百長事件に関わっていた証人が19年のワールドシリーズに言及し、一気に火がつく。シコットら7名の実行犯と、共謀を知りながら報告を怠っていた三塁手バック・ウィーバーの計8名が相次いで法廷に呼ばれ、金銭の見返りに試合に負けるよう企んだと全員が認めた。彼らはただちに出場停止処分を受け、インディアンスと激しく首位を争っていたホワイトソックスは主力を欠いて連覇を逃した。

 野球界最高のイベントであるワールドシリーズでの大醜聞は、ファンに大きな衝撃を与えた。人気者のジャクソンが関わっていたのも多大な失望を招き、裁判所に赴いた彼に対して少年ファンが「嘘だと言ってよ、ジョー」という言葉を投げかけた――という有名な(ただし事実ではない)エピソードを生んだほどであった。
 

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