ストレートに近い軌道から変化するツーシームとフォークのコンビネーションは、大野雄の最大の武器であるストレートの威力をさらに引き出す効果ももたらした。大野雄のストレートは左の先発投手としてはNPB屈指の平均球速146.1キロを誇るが、空振り率10.7%、被打率.190といずれもリーグトップレベルの数値を記録できたのは、配球の妙もその要因だったはずだ。
たとえどんなに素晴らしいストレートを持っていたとしても、まっすぐ一本だけで抑えられるほど今のNPBは甘くない。現に大野雄も2018年や2019年の序盤は、ストレートを6割前後も投げ込むなど投球割合にバランスを欠いていたことで、痛打を浴びることも多かった。
一方で、昨年はストレートを投球の軸に据えながらも、ツーシームやフォークを効果的に活用することで打者を幻惑。落ちる変化球で三振を狙うだけでなく、ツーシーム、フォークをゾーン内で小さく落としカウントを稼ぎ、最後は自慢のストレートと木下拓哉の巧みなフレーミングとの合わせ技で見逃し三振を奪う、そんな配球も印象的だった。
かつて大野雄は、谷繁元信から「ツーシームでゴロを打たせる投球を覚え、楽をしている」と指摘されたことがあった。ストレートをもっと磨くべきというのがその真意だが、現在の大野雄はストレートの球威を高めるだけでなく、ツーシームとのコンビネーションをさらに進化させることで、沢村賞投手にまで上り詰めた。
もはや大野雄の代名詞となったツーシームは、ダルビッシュだけでなく多くの野球選手の手本となることだろう。
文●ロバートさん
【著者プロフィール】
1988年生まれ。Twitterにて中日ドラゴンズの戦力分析・考察を行う中日ファン。中日新聞プラスにて「データで考える中日ドラゴンズ」を連載中。Twitterは@robertsan_CD
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たとえどんなに素晴らしいストレートを持っていたとしても、まっすぐ一本だけで抑えられるほど今のNPBは甘くない。現に大野雄も2018年や2019年の序盤は、ストレートを6割前後も投げ込むなど投球割合にバランスを欠いていたことで、痛打を浴びることも多かった。
一方で、昨年はストレートを投球の軸に据えながらも、ツーシームやフォークを効果的に活用することで打者を幻惑。落ちる変化球で三振を狙うだけでなく、ツーシーム、フォークをゾーン内で小さく落としカウントを稼ぎ、最後は自慢のストレートと木下拓哉の巧みなフレーミングとの合わせ技で見逃し三振を奪う、そんな配球も印象的だった。
かつて大野雄は、谷繁元信から「ツーシームでゴロを打たせる投球を覚え、楽をしている」と指摘されたことがあった。ストレートをもっと磨くべきというのがその真意だが、現在の大野雄はストレートの球威を高めるだけでなく、ツーシームとのコンビネーションをさらに進化させることで、沢村賞投手にまで上り詰めた。
もはや大野雄の代名詞となったツーシームは、ダルビッシュだけでなく多くの野球選手の手本となることだろう。
文●ロバートさん
【著者プロフィール】
1988年生まれ。Twitterにて中日ドラゴンズの戦力分析・考察を行う中日ファン。中日新聞プラスにて「データで考える中日ドラゴンズ」を連載中。Twitterは@robertsan_CD
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