――ただ、寡黙でシャイな人が急に明るく盛り上げろと言われても難しいと思うんですけど、そこはどうだったんでしょうか？

　難しかったですよ、ホント。やらないといけないという責任感を持ちつつ、成績も残さないといけないという思いもあって。でも、それがミックスされたからこそ頑張れた、というのもあります。

――昨年引退した五十嵐亮太さんが以前テレビで「松田さんのリーダーシップはすごい。でも、家に帰ったらもう放心状態なんじゃないか」とおっしゃっていましたが。

　正解です（笑）。なってます（笑）。

――野球選手は個人成績も大事だと思うんですが、自分の調子にアップダウンがある中で、チームも盛り上げていくのは大変ですよね。

　それはもう慣れましたね。逆に自分の成績を出す近道の手段になってますね。違う方面から頑張っていくことが。本当だったら、いい形で打ったりとか、いいタイミングで打ったりとか、バッティングはそれしかないはずなんですけど、それとは別に気持ちのコントロールであったり、目に見えない気持ちであったりというのがプラスアルファになっていると思います。

――元気に周りを盛り上げていくことが、気持ちの若さにつながっていると。

　そうですね。本当にそういうのもプラスしてできて良かったと。そうじゃなかったら、もうユニフォーム着てないと思います。
  ――松田さん以外のホークスの選手のコメントなどを見ても、川崎さんの存在の大きさをすごく感じます。

　いやあ、大きいですよホント。

――それは具体的にどんな部分ですか？

　やっぱりプロに入るまでになったら、個人個人のレベルってホンマ近いんですよ。じゃあ、後は何がプラスアルファになるんだって言ったら、そういう目に見えない力なんですね。明るさであったり、元気であったり、やる気であったり。そういうところを先駆けてやってくれるたのがムネさんだったんです。

――極端な言い方をすると、もし川崎さんがいなかったら、ホークスというチームもまた今とはまったく違う姿になっていたのでは？

　全然違うでしょうね。ムネさんがいなかったら、ヤバかったんじゃないですか。本当にそう言っていいと思います。

――でも、逆に今は松田さんがそういう存在になっているんじゃないかなとも思うんですが。

　そうだったら本当に嬉しいです。そういう役目も似合ってるな、というのは自分でも分かります。だからこそ、そういうのを38歳になってもやめてはいけないなと思います。

「あの人っすよ。この何年もホークスを強くして勝たせてるのは」。そう断言したのは秋山翔吾（レッズ）だ。インタビューで、「メジャー２年目の意気込み」をテーマに語ってもらった際、「チームを勝たせる選手になりたい」という文脈の中で、秋山はそう言った。あの“熱男”パフォーマンスは、王会長が植え付け、多くの選手や監督が受け継いできたホークスの「勝者のDNA」を体現するものでもあるのだ。

【PROFILE】
まつだのぶひろ。1983年５月17日、滋賀県出身。中京高、亜細亜大を経て、2005年ドラフト希望入団枠でソフトバンクに入団。20本塁打以上を６度記録する強打に加え、ゴールデン・グラブ受賞８回は三塁手としては史上最多。本塁打を打った後の「熱男～!!」パフォーマンスに代表されるようなムードメーカーとしてもチームに貢献する。WBC、プレミア12にそれぞれ２度出場するなど、侍ジャパンの中心選手としても活躍している。

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