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プロ野球

無名だった佐藤輝明はなぜ怪物に?『良くも悪くも外国人っぽいバッティング』の学生時代からの進化とは

西尾典文

2021.05.10

 最初の2打席は外野フライに倒れたものの、1本目はストレートをセンターに、2本目は変化球をライトに打ち返したものであり、それまでのような差し込まれるバッティングではなかったのだ。そして第4打席では今年のドラフト候補にも挙がっている黒原拓未の147キロのストレートを引っ張ってライト線へのツーベースを放ったのだが、その打球の速さはドラフトの目玉に相応しいものだった。

 佐藤のヒットを見たのはこれが5本目。だが、速いストレートを完璧に捉えて強く引っ張るバッティングは初めてだった。ドラフト会議が終わった後の関西地区大学野球選手権の大阪商業大戦でも、内角高めのストレートを引っ張ってライトオーバーのタイムリースリーベースを放っているが、これも3年時までは見られないような当たりだった。

 下級生の頃から大きく変わったのは「身体の回転の鋭さ」である。それまではボールを長く見る意識は強かったものの、下半身を上手く使うことができず、どうしても腕力に頼るようなスウィングが多かったが、4年秋には空振りになっても全身を使って鋭く振り切る場面が圧倒的に多くなった。
 
 速いストレートを強く引っ張ろうとすると、どうしてもポイントが投手寄りになって、変化球に簡単に崩されてしまう。しかし、佐藤は持ち味であるパワーに加えて下半身を使ったスウイングのキレがプラスされ、捕手寄りの近いポイントでもライトへ長打を放てるようになったのだ。

 プロのここまでのプレーを見ていると、まだ速いストレートに差し込まれる場面は多いが、大学3年までのように崩されながらも何とかバットに当てるという形は見られなくなっている。自分のパワーを生かせる形ができたことと、常にフルスウィングする姿勢を徹底していることが、ここまでの好成績につながっているのではないだろうか。

 最初に見た時の『良くも悪くも外国人っぽいバッティング』というイメージは今でも変わらない。しかし一方で、確実にバッティングの内容が進化しているのは間違いない。今後さらに相手からの厳しいマークが予想されるが、安易にヒットを求めるのではなく、常にホームランが期待できるような今のスタイルを貫き続けるのを期待したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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