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プロ野球

【インタビュー】千葉ロッテ・谷保さんがアナウンス室から見た「コロナ禍のプロ野球」<SLUGGER>

村岡範子

2021.05.25

 アナウンスにも、谷保さんならではの心憎い演出があった。無観客の際は「中継をご覧の皆様」、そして有観客試合初日には「お帰りなさい」という一言を、通常のアナウンスに添えた。「広報室で話し合って、中継を見ているファンの皆さんにも何かメッセージを流そうと決めたんです」。

 現在でも、「中継をご覧の皆様も」の一言は添えられている。「まだまだ皆さんが来られるわけではないですし、逆に中継を見ている方も増えたと思うので。私がそれを言う時間が決まっているので、中継の担当の方もちゃんと合わせてくれるんです。ZOZOマリンスタジアムは風が強いと声が飛んじゃったりすることがあるので、よく中継に乗るように、ゆっくりはっきり話すように気をつけています」
 
 無観客になって、改めて気付いたことがあるという。それは、ZOZOマリンのライトスタンドに陣取るファンの存在の大きさだ。現在、ZOZOマリンでは、他の一部の球場で行われているような録音による応援歌の放送はしていない。ロッテ独特の応援は、録音では替えが効かないからだ。
 
「ファンの方の応援を頼りに、登場曲やビジョンにも合わせていろんな間を取りながらアナウンスを入れるんですけど、うちの応援団の方ってすごくプレーを見ているんですよ。タイミングとか、一つ一つのプレーに合わせた応援をしてくれているので、なかなか録音では流せない応援なんですよね」
 今季も、新たな緊急事態宣言などで、先の見通しがなかなか立たない状態が続くが、谷保さんはしっかり前を見据えている。「去年は本当に先が見えなかったけれど、それでも各球団が頑張って完走したので、今年も12球団で力を合わせて何とか最後まで、オールスターもやって、日本シリーズもやって、そこまで行けるようにしたいです。先が遠くて、見えるようで見えないところもあるので、目の前のところからやっていきたいです」
 
 そして、ともに球場を盛り上げる"パートナー"でもあるファンへも力強いメッセージを送った。「球場になかなか来られないかもしれないですけど、心で応援していただきたいです。チームには伝わってますので。満員のスタジアムが戻ってくるのを、選手もスタッフも楽しみにしています。今、大変な方もたくさんいると思うんですけど、その日のためにともに頑張りましょう!」
 
 コロナ前の球場が戻って来るその日まで、谷保さんは球場に来られないファンへ向けても声を届け続ける。

取材・文●村岡範子

むらおかのりこ。1983年生まれ。軟式野球チームの監督だった父の影響で小学2年からプロ野球ファンになる。大学上京後、チアリーダーとなり、Jリーグクラブの公式チアリーディングチームのメンバーを務める。でもチアを経験する。2018年から二軍観戦にハマり、現在も可能な限り球場へ足を運ぶ。19年にスポーツサイトでNPB担当ライターを経験し、現在はフリーで活動中。

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