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MLB

検証:大谷翔平はなぜ四球が増えたのか。「アジア人だから」ではない“確かな成長”とリスペクト

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2021.09.24

2004年の両リーグ敬遠トップはボンズ(左)とイチロー(右)。最強打者ボンズは当然のように勝負したくないし、弱小球団で孤軍奮闘したイチローにも、わざわざ投げる必要はなかった。(C)Getty Images

2004年の両リーグ敬遠トップはボンズ(左)とイチロー(右)。最強打者ボンズは当然のように勝負したくないし、弱小球団で孤軍奮闘したイチローにも、わざわざ投げる必要はなかった。(C)Getty Images

 こうした観点でライバルのゲレーロJr.とペレスを見ていくと、ある意味、好対照の結果になる。メジャー屈指の強力打線の中軸に座るゲレーロJr.は、前後に彼をプロテクトする打者がいるため、勝負してもらえる環境がある。それでいて打席アプローチも優秀で、四球率12.7%、三振率15.9%と本当に穴が少ない。

 一方でペレスは、言葉は悪いが「シーズン序盤の大谷」と言える。四球率4.2%はメジャーワースト3位に過ぎず、これだけ打っていても出塁率.317はメジャー平均と一緒というのは、決して褒められたものではないだろう。

 差別の有無はもちろん実際のところは分からない。しかし例えば、1998年に白人のスターだったマーク・マグワイアがMLB本塁打記録更新を目指していた際、後ろを打つ選手がOPS.900以上の強打者であっても、四球率23.8%はメジャーダントツ1位と勝負を避けられていた。そして、マグワイアを抜く73本塁打を放った2001年のバリー・ボンズも、同年は35個の敬遠四球があり、2004年には120敬遠(!)という空前絶後の記録を残している。

 当たり前の話だが、アメリカ人だろうとなんだろうと、歴史的な文脈があろうとなかろうと、選手が偉大であればあるほど、勝負をしてもらえないのは当然だ。イチローもシーズン最多安打記録を放った2004年はリーグ最多19敬遠をされているが、この年のマリナーズは勝率.389という弱小球団であり、今年の大谷と同じように、イチローさえマークしておけば良かったわけである。
 
 果たして前夜の四球攻めから一夜明け、大谷は現地時間23日の試合も3四球だった。表面上では同じように勝負を避けられたように見える。しかし、この日は相手も好投手であり、際どいコースに投げ込んで揺さぶってきた。

 それでも大谷は粘り、見極め、全打席ともフルカウントからの四球を「もぎ取った」。プロフェッショナルの戦いは、感動すら覚えるものだった。

 投手と打者の戦いは、刹那である。コンマ数秒の世界でどんなボールかを判断し、振る振らないを選択しなければならない。そして、大谷はシーズンを重ねるごとに、その「判断力」を研ぎ澄ましていったのだ。

 大谷が本塁打王となれば素晴らしいし、期待したい。確かに、現状の相手バッテリーからの「四球でOK」という状況は決して好ましいものではない。しかし、こうした勝負を避けられるシチュエーションを作り出すことができたのは、他でもない、大谷自身が真にメジャーリーグから認められた強打者だからという視点を忘れてはならない。そして、その中でも結果を残し、成長を続けた大谷は、改めて称賛されるべきだろう。

構成●新井裕貴(THE DIGEST編集部)

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