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プロ野球

25年ぶり優勝に名参謀・水本勝己ヘッドの存在。「勝つ喜び」を忘れたオリックスを変えた術とは

北野正樹

2021.10.31

9月24日の練習前、野手に語り掛ける水本勝己ヘッド 写真:北野正樹

9月24日の練習前、野手に語り掛ける水本勝己ヘッド 写真:北野正樹

 常に選手に寄り添う。9月22日の京セラドーム大阪での試合前の練習。走塁練習をしていた後藤駿太を呼び止め、声を掛けた。

「ずっとチャンスをつかめてこなかっただけに、打ちたいという気持ちは分かるけど、打ちたい、打ちたいという気持ちを捨てて、やるべきことをやってくれよ」

 この日、久々の先発出場が決まっていた後藤。ドラフト1位で入団。高卒1年目の野手では球団初の開幕一軍をつかんだものの、打撃が向上せず定位置をつかめずに来た11年目の後藤のはやる気持ちを抑える助言だった。

 ドラフト外で広島に捕手として入団。1軍経験がないまま、2年で現役引退し、ブルペン捕手を務めて「赤ヘル」の黄金期を支えてきた。その後、コーチを経て2軍監督で指導者の道を進んできた水本だからこそのアドバイス。「(内容は)分かりきったことですが、たまに先発出場する時にそうやって声を掛けてくれる存在が、水本ヘッドなんです」と後藤。
 
 今季のオリックスは、吉田正が9月に入り、脚の肉離れや死球による骨折などで離脱。実績のある外国人選手2人が、コロナ禍もありシーズン途中で退団。替わって獲得した助っ人も、死球での離脱などもあり大活躍をしたわけでもない。

 それでも、高卒2年目の紅林弘太郎が9月15日の楽天戦(楽天生命パーク)で9回2死から17球も粘るなど、全員がなんとか塁に出て後続につなげようと意識した打席を心掛けてきた。6月6日の交流戦の中日戦(バンテリンドーム)では、「1番・中堅」に定着した福田周平が、2回にカウント1-2から7球連続してファウルで粘り、16球目を中前適時打。昨年までの淡白な打線から、四球を選んで次打者につなぎ、一気呵成に攻めて逆転するというシーンが今季は何度もあった。
 

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