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高校野球

遠くに飛ばすコツを心得た打撃は天下一品!一方で課題は…花巻東の怪物1年生スラッガー・佐々木麟太郎の「現在地」<SLUGGER>

西尾典文

2021.11.27

 佐々木の最大の特長は、ボールを遠くへ飛ばす"コツ"を知っているということではないだろうか。筆者が初めて見た試合でのホームランは技巧派サウスポーがタイミングをずらそうとして投じた92キロのスローカーブをとらえたものであり、また明治神宮大会で放った2本のホームランは外角低めいっぱいのストレートと真ん中高めのボール球のストレートで、どのボールもヒットにはできてもホームランにするのは極めて難しいボールだった。

 東北大会の東日大昌平戦では、外から入ってくる少し甘い変化球だったが、タイミングを外されそうになりながらも体を残して逆方向の左中間に運んでいる。4本のサンプルでも打ったボール、打球の軌道、打球方向にこれだけバリエーションがあるというのは、どんなボールでも遠くへ飛ばすテクニックがある証明と言える。

 スウィングの形はメジャーで歴代最多シーズン73本塁打を放ったバリー・ボンズを参考にしているとのことで、構えている時はバットの動きが大きくヘッドもかなり中に入るスタイルだが、トップの形は安定しており、頭が上下動することなく鋭く振り出すことができている。また決して腕力だけでなく、下半身や体幹も使って振れるというのも大きな特長だ。
 佐々木の魅力はバッティングだけではない。ピンチの場面では真っ先に投手に声をかけ、他の選手に対しても積極的に指示を出す姿が見られたのだ。また、明治神宮大会の高知高戦の第4打席ではレフトへの大飛球を放ち、セカンドランナーのタッチアップが早いということでダブルプレーとなったが、かなり微妙な判定に対して毅然とした態度で審判に質問する姿も見られた。

 高校野球では抗議は認められておらず、主将が審判に判定を確認することしかできないためルール的には良いことではないかもしれないが、すぐにこのような行動が自然と出るところにもチームを引っ張ろうという意識が感じられた。
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