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プロ野球

「ハセさん、ありがとう」長谷川勇也がホークスに残した“レガシー”<SLUGGER>

上杉あずさ

2021.12.25

将来のスラッガ―候補・リチャードもまた、長谷川に弟子入りして才能を開花させた一人。引退しても“ハセ魂”は若手らに受け継がれるはずだ。写真:滝川敏之

将来のスラッガ―候補・リチャードもまた、長谷川に弟子入りして才能を開花させた一人。引退しても“ハセ魂”は若手らに受け継がれるはずだ。写真:滝川敏之

 そんな長谷川の背中を見て、変化を見せる若鷹も徐々に出てきた。一軍に昇格できない選手たちにはそれぞれ課題がある。長谷川は、質問されたことには身振り手振りで助言を送ってきた。ある時は、練習後の汗を流していた風呂場で若鷹に打撃のことで相談を受けた。すると、再び練習場へ誘い出し、ともにバットを振りながら熱弁をふるったのだった。 

 本気で取り組む選手には、誰であろうが本気で向き合う男。そして、長谷川に息をかけられた選手は面白いようにトンネルを抜け出し、状態を上げていった。今シーズン、一軍での出場を得るようになったリチャード、柳町達、佐藤直樹……多くの選手が「ハセさんのおかげで」と感謝した。

 近寄りがたかった寡黙な職人は、いつしか若鷹たちが「ハセさん、ハセさん」と慕い、教えを乞う存在になっていた。 
 
 主力として成長著しい栗原陵矢は、来季から長谷川が背負ってきた背番号24を継承することになった。慕ってきた長谷川に自ら志願し、受け継ぐことになったという。長谷川が打ち立てた、198安打でのチーム最多安打記録を塗り替えると意気込んだ栗原。決意の大きさがにじんでいた。 

 そして長谷川は、自身の記録を破ってくれるような選手を指導する側に回ることとなった。引退からあまり時間が経たぬうちに、一軍打撃コーチとして再びユニフォームに袖を通した。

 長谷川勇也の物語は止まることはない。立場が変わっても、決して変わらぬ野球への情熱と一打にかける魂。 長谷川勇也こそ、ホークスが常勝軍団であるために語り継がれるべき存在ではないか。 

取材・文●上杉あずさ(タレント) 
 
【著者プロフィール】 
ワタナベエンターテインメント所属。RKBラジオ「ホークス&スポーツ」パーソナリティやJ:COM九州「ガンガンホークス CHECK!GO!」リポーターとしてホークスを一軍から三軍まで取材。趣味はアマチュア野球観戦。草野球チーム「福岡ハードバンクポークス」の選手兼任監督を務める。 
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