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MLB

【2021大谷翔平の軌跡:8月】本塁打のペースが鈍った中で俊足を発揮。ヤンキース戦では自身初の快挙も<SLUGGER>

斎藤庸裕

2021.12.29

 成功への伏線もあった。8月6日のドジャース戦。延長10回1死一、三塁から、一塁走者がスタートした。一塁走者が一、二塁間で挟まれている間に三塁走者の大谷は本塁を狙ったが、警戒していた相手一塁手アルバート・プーホルスの好送球であえなくアウトとなった。ヤンキース戦で成功させた際は、捕手が遊撃手に送球した時点でスタートを切った。失敗から学び、アプローチを変えて自身初の本盗につなげた。

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 この試合で2盗塁を決め、今季22盗塁まで積み重ねた。42本塁打&22本塁打以上は、ホゼ・カンセコ、アレックス・ロドリゲス、ケン・グリフィーJr.に続いて史上4人目。レジェンド級の3選手と肩を並べたが、大谷は投手でもある。本塁打を量産し、足でも貢献。さらに投手もこなす。ジョー・マッドン監督が「彼はピッチングもしているんだ。Oh my god。すごいことだ」と目を丸くするように、大谷のすごみはその多面性にある。
 
 本塁打のペースが急激に落ちたこの1ヵ月を振り返り、大谷はシーズン終了後にこう言った。「チームの勝ちもついてこないですし、ポストシーズン、その先の戦いも見えてこない中での戦いが多かったので。精神的にきつい場面は、後半の方が多かった」。

 打撃面で失速しても、スピードスター大谷の勢いは加速した。また、投げては4先発で3勝、防御率2.88。25.0投球回で与四球わずか3つと、7月に続いて抜群の安定感を披露した。最大の見せ場でもある本塁打が出なかった分、かえって大谷の多面性が浮き彫りになった。そんな1ヵ月だった。
【つづく】

文●斎藤庸裕

【著者プロフィール】
さいとう・のぶひろ。1983年、埼玉県生まれ。日刊スポーツ新聞社でプロ野球担当記者を務めた後サンディエゴ州立大学でスポーツビジネスを学ぶ。2018年から大谷翔平の担当記者を務める。日刊スポーツでコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」を配信中。

 
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