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真の争点は「ステロイド」ではなく「人格」? 殿堂入りのオティーズと落選したボンズらの最大の違い<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.01.26

 業績だけを見れば、3人とも十分殿堂入りに値する。ボンズとクレメンスに至っては、本来なら有資格1年目で殿堂入りしなければおかしいほどだ。にもかかわらず、結局殿堂入りすることができなかったのは、それぞれの経歴に傷があったからだ。

 ボンズとクレメンスは、ステロイド疑惑が大きな障害になってきた。2人とも03年から導入されたMLB機構の薬物検査にひっかかったことはない。だが、球界のステロイド使用の実態を報告した07年の「ミッチェル・レポート」で告発されて以降は、薬物使用者であったことが確実視されている。

 シリングにはドーピング疑惑こそないが、近年の相次ぐ舌禍事件が大きなマイナスとなっている。16年にはイスラム教徒やLGBTに対する差別発言でESPNの解説者を解雇。同年11月には、ドナルド・トランプへの批判的な記者を「殺せ」と言い放った。4%足りずに落選した昨年の投票発表直後には、「来年の候補者リストから外してくれ」と発言し、またも批判を買った。
 
 一方で、「たとえステロイドユーザーであっても、人種差別主義者であっても殿堂入りさせるべきだ」と3人を擁護する声も少なからずあった。その根拠の一つになったのが、すでに殿堂入りを果たしている先達たちだ。

 たとえば、通算314勝で1991年に殿堂入りしたゲイロード・ペリーは、不正投球として禁止されているスピットボールを駆使していたことで知られる(本人も引退後に公言している)。ボンズ以前の通算最多本塁打記録保持者で、高潔な人格者としても知られた故ハンク・アーロンは、当時流行していた興奮剤グリーニーを使用していた(集中力が高まる効果があるとされ、日本では清原和博も使用していた。MLBでは06年から禁止薬物に)。

 19世紀に活躍したキャップ・アンソンなど、少なくとも現在の基準では人種差別主義者にカテゴライズされる人物もいる。何より、当時の球界の実態からして、ステロイドを使用していた選手も複数殿堂入りしているはずだと信じられている。にもかかわらず、ボンズとクレメンスだけを入れないのはダブルスタンダードだという声は少なくない。
 
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