実は、今回殿堂入りを果たしたオティーズも、MLBによる非公式な薬物検査で陽性反応を示したとされている。まだ薬物禁止規定が施行される前のこととあって、大きな問題にはなっていないが、「グレー」であることは間違いない。
実績ではボンズやクレメンスの方が遥かに上、(濃淡こそあれ)薬物疑惑がある点も同じ。にもかかわらず、なぜ両者の扱いにこれほど大きな差が生まれたのだろうか。実は、薬物問題は最大の争点ではなかったのではないか。
ボンズ、クレメンスとオティーズの最も大きな差は、記者に愛される人格者だったか否かだ。オティーズは誰もが尊敬するリーダーであり、ボストンのハート&ソウルだった。13年にボストンマラソン爆弾テロ事件が起こった際には、見事なスピーチでボストン市民を勇気づけた。11年に社会福祉活動に大きく貢献した選手を称えるロベルト・クレメンテ賞も受賞している(実はシリングも受賞経験者なのだが)。
一方、ボンズとクレメンスはお世辞にも人格者とは呼べなかった。ボンズはとにかく「傲岸不遜」を絵に描いたような人物で、チームメイトや首脳陣ともたびたび衝突。記者とも折り合いが悪かった。高慢さで言えばクレメンスも似たようなもので、レッドソックス時代はマスコミから「非常に傲慢で耐え難い人格の持ち主」と批判されたこともあった。
この10年、ボンズとクレメンスの殿堂入りに「ノー」を突きつけてきた記者たちは、果たして薬物疑惑だけを問題にしていたのだろうか。むしろ、彼らが最も拒否感を示したのは2人の人格に対してではなかったか。オティーズとの投票結果の違いは、そのことを浮き彫りにしているように見える。
米紙『NY Times』のタイラー・ケプナー記者は、『SLUGGER』21年3月号に寄せた記事で、「投票者は候補者の『人格、品位、スポーツマンシップ』を考慮するよう求められるが、それらが具体的に何を意味するかは一切示されていない」と指摘している。是非は別として、ボンズとクレメンスの殿堂入り(ある意味ではシリングも)を阻んだ最大の要因は、「人格」という曖昧な基準だったのかもしれない。
構成●SLUGGER編集部
実績ではボンズやクレメンスの方が遥かに上、(濃淡こそあれ)薬物疑惑がある点も同じ。にもかかわらず、なぜ両者の扱いにこれほど大きな差が生まれたのだろうか。実は、薬物問題は最大の争点ではなかったのではないか。
ボンズ、クレメンスとオティーズの最も大きな差は、記者に愛される人格者だったか否かだ。オティーズは誰もが尊敬するリーダーであり、ボストンのハート&ソウルだった。13年にボストンマラソン爆弾テロ事件が起こった際には、見事なスピーチでボストン市民を勇気づけた。11年に社会福祉活動に大きく貢献した選手を称えるロベルト・クレメンテ賞も受賞している(実はシリングも受賞経験者なのだが)。
一方、ボンズとクレメンスはお世辞にも人格者とは呼べなかった。ボンズはとにかく「傲岸不遜」を絵に描いたような人物で、チームメイトや首脳陣ともたびたび衝突。記者とも折り合いが悪かった。高慢さで言えばクレメンスも似たようなもので、レッドソックス時代はマスコミから「非常に傲慢で耐え難い人格の持ち主」と批判されたこともあった。
この10年、ボンズとクレメンスの殿堂入りに「ノー」を突きつけてきた記者たちは、果たして薬物疑惑だけを問題にしていたのだろうか。むしろ、彼らが最も拒否感を示したのは2人の人格に対してではなかったか。オティーズとの投票結果の違いは、そのことを浮き彫りにしているように見える。
米紙『NY Times』のタイラー・ケプナー記者は、『SLUGGER』21年3月号に寄せた記事で、「投票者は候補者の『人格、品位、スポーツマンシップ』を考慮するよう求められるが、それらが具体的に何を意味するかは一切示されていない」と指摘している。是非は別として、ボンズとクレメンスの殿堂入り(ある意味ではシリングも)を阻んだ最大の要因は、「人格」という曖昧な基準だったのかもしれない。
構成●SLUGGER編集部
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