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侍ジャパン

全勝の侍ジャパン、投手陣の好調さはスーパーラウンドで大きな強みになる【プレミア12】

氏原英明

2019.11.08

 もっとも、台湾戦からは打線も少しずつ活気付いている。
 シーズンの鬱憤を晴らすかのように、菊池涼介、鈴木の広島勢が好調をキープ。2人の間に入る3番の近藤健介(日本ハム)がいいつなぎ役を果たし、打線にしっかりとした軸ができている。

 オープニングラウンドが開幕した頃に「不調」と騒がれた坂本勇人(巨人)の調子が戻りつつあり、山田、丸佳浩(巨人)、吉田正尚(オリックス)にそれぞれ初安打が出たのも大きい。足の上げ方、バックスウィングなど、それぞれの打者が戦いながら修正を加えていることが結果につながっている。また、途中出場ながら2安打の源田壮亮(西武)は、守備力と走力を含めて今後も出場機会は増えていくはずだ。

 スーパーラウンドでは、この3戦より厳しい戦いになることは間違いない。
 ベネズエラのリリーバーのように、1イニングで7四球を出すなんてことはそうないだろうから、あのような試合は期待しない方がいい。四球率の高い山田や近藤、鈴木はこれからも上位での起用を続けてもらいたいが、今後は積極果敢な攻めが求められていく。

 3番の近藤から1人ずつ打順を上げるという案も面白いが、2番の菊池が好調だから、上位の並びは変えないだろう。ただ、その一方で課題となるのが鈴木の後を打つ打者だ。
 
 この3試合では吉田正尚と浅村栄斗(楽天)が務めたが、いまひとつ波に乗れていない。そこで坂本の打順を1つ上げるというのも検討される。坂本の調子が上がってきていることが理由の一つだが、やはり、国際大会での経験の豊富さはチームで抜けている。オープニングラウンドの活躍で鈴木は今後マークされるだろうから、坂本に重責を担ってもらいたい。

 そして、2番の菊池が好調であると仮定するなら、8、9番の出塁も重要になる。源田を「9番・遊撃」で起用して、下位打線からチャンスメークすることも視野に入れたい。1番・山田、2番・菊池につなぐという役割を託すことで、さらなる得点パターンができる。

 一方の投手は、スーパーラウンドまで日程が開くため、疲労についてはそこまで残らないだろう。先発に関しては決勝戦が17日だから、そこから逆算する日程がもっともらしい。

 オープニングラウンドの第2戦で好投を見せた高橋の使いどころがポイントになるが、アメリカ、メキシコと対戦する、12、13日に起用するのが得策だろう。両チームの強打者には、普段目にすることがない高橋の投球で牛耳りたい。そう考えると、11、13、16日をどうしていくかだが、対戦相手次第だ。

 11日は決勝戦に登板させる投手と同じでいいだろうが、スーパーラウンドの最終戦は、ややもすると、決勝戦進出を懸けた戦いになっている可能性もあるので、こちらも、責任が重大になる。16、17日は経験者の起用を考えたい。山口、岸孝之(楽天)になるだろうか。

 先にも書いたように、投手陣の好調さは侍ジャパンの強みになる。
 仮にマウンドに上げた投手の状態が悪かったとしても、早い継投策で相手の攻撃の芽を摘んでいきたい。序盤で3点のリードがあれば守りきれる。それだけ侍ジャパンの投手陣には厚い。

文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』
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