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“世界のトヨタ”の社員が慶應大学の助監督を務めた意味とは――竹内大助、『助監督日記』の完結【第5章】

矢崎良一

2022.03.12

慶応大での充実した日々をまとめた「助監督日記」。Twitterで公開された内容は小さくない話題となった。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

慶応大での充実した日々をまとめた「助監督日記」。Twitterで公開された内容は小さくない話題となった。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 助監督の任期が残り少なくなった昨年末、竹内は自分の仕事を振り返るかのように「助監督日記」と題して、自身のTwitterを使って自らがしてきた仕事の内容をまとめ、発信している。

 それは彼にとって、助監督としての3年間の業務報告だったのかもしれない。本人の許可を得て、ここに掲載させてもらおう。

助監督の仕事1 「監督を助ける」
 一言で表すとこの言葉に尽きます。読んで字の如くですが、まさにこの言葉を念頭に置いていました。監督の困りごとを解決する、監督が仕事をしやすい環境を整える。選手ファーストの考え方はもちろんですが、監督との二者間では常に監督ファーストです。

助監督の仕事2 「安全管理」
 グラウンド内外問わず、常に意識していました。怪我・故障をしない環境づくり、仕組みづくりをすること。危険な場所を作らない、危険行為を未然防止する注意喚起。安全第一・健康第一が成長するためのキーワードです。

助監督の仕事3 「ヒト・モノ・カネの管理、最適化」
 監督とともに、限りある資源をどうすれば有効活用できるか考え、環境を整えていました。一定程度成果の上がったものもあれば、思うようにいかなかったことも……。試行錯誤の連続でした。

助監督の仕事4その1 「投手コーチ」
 慶應大学に対しては、前任の林卓史助監督から“助監督=投手コーチ”という印象を持っていただいているかもしれません。監督が野手出身ということもあり、ある程度役割分担されていました。私自身、もっとも時間をかけて、試行錯誤していた領域です。

助監督の仕事4その2 「データ活用」
 投手担当として試行錯誤したことの一つです。科学データ、統計データなどを用いて投手育成、相手分析に苦心していました。専門家の方々の力も借りて、学生と一緒に考えながら。手段と目的の混同に注意し、データと感覚の擦り合わせを行っていました。

助監督の仕事4その3 「オープン戦登板予定検討」
 これも個人的に重要な仕事。「故障させない⇆限界まで鍛える」。常にせめぎ合いをしていました。圧倒的な実戦練習量が堀井哲也監督の、いわば“堀井スタイル”です。選手を守ることが仕事ですが、ギリギリを攻めることによって成長すると信じ、予定を組んでいました。

助監督の仕事4その4 「投手継投の相談」
 神宮球場でブルペンとベンチを行ったり来たり。試合展開と投手の状態を考慮しながら監督と相談していました。最終判断は監督ですが、自分の意見は全てぶつけていました。試合に勝つための、本音の議論。監督、懐深いです。

助監督の仕事5 「監督と学生の通訳」
 年齢が監督と学生の間であること、ポジション的なこと(野手と投手)から、監督からも常々依頼されていました。とくに監督の話を、温度感は保ったまま投手に伝えることには身骨を砕いてました。ただし、学生たちの若者言葉には、「???」なことも多々ありました。

助監督の仕事6 「悩み相談のカウンセラー」
 投手コーチの領域での話がほとんどですが、野手からの相談もいくつかありました。投手目線での話、社会人目線での話、切り口はさまざまですが、何よりも相手の話を聞くことを大切にしていました。なかには恋愛相談にくる学生もいました。

助監督の仕事7 「問題解決能力を鍛える」
 現状把握、目標設定、やるべきことの明確化。成長するためのロジックを口うるさく伝えてきました。紙に書かせて、対話をして、何度も修正をしながら……。面倒臭い先輩だったと思います。一緒に勉強していました。

助監督の仕事8 「生活指導・進路相談」
 身だしなみ、ユニホームの着こなし、言葉遣い……。学校にいた生活指導の先生のようなこともしていました。上級生は進路相談も。就職のことや野球継続のことをわかる範囲でアドバイス。同時に自らの勉強不足・知識不足を痛感していました。

助監督の仕事9 「新しい領域へのチャレンジ」
 組織も、個人としても成長し続けなければならず、積極的に行動していました。
・コンディション管理のシステム化
・アナリスト部門の新設
・慶應大学内、他組織との連携強化

 これらのことを、周りの方々の力を借りながら進めてきました。
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