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プロ野球

ドラ6で4番を任された末包昇大とは何者か?鈴木誠也の穴埋めを期待される大砲が歩んできた道のり

西尾典文

2022.03.14

 そしてそのパワーを昨年12月に行なわれた都市対抗野球で改めて示す。初戦の伏木海陸運送戦は3回まで両チーム無得点という膠着した展開となったが、4回に迎えた第2打席で貴重な先制となるソロホームランをセンターバックスクリーンに放ち、チームを勝利に導いたのである。試合後に担当だった鞘師智也スカウトと顔を合わせ、末包の話題となったが、「当たれば飛びます。今日はいいところが出ましたね」と話していた。

 しかし、この都市対抗では課題も見えた。続く2回戦のJFE東日本戦では外角の変化球にことごとくバットが合わず、4打席連続空振り三振に倒れ、チームも0対1で敗戦となったのである。鞘師スカウトの「当たれば」という言葉が意味するものと、6位まで残っていた理由は、このあたりの変化球に対しる脆さにありそうだ。

 2月11日に筆者は広島の日南キャンプを訪れ、末包のバッティングにも注目したが、その後のオープン戦を見ても今のところ昨年までのイメージは大きく変わっていない。フリーバッティングでは次々と柵越えを連発するも、実戦での変化球の対応についてはまだ一軍の中では下の部類に入るように見えた。日本の4番も務めた鈴木誠也の穴を埋めるというのはさすがに高いハードルであることは間違いないだろう。

 しかしポジティブな要素があることも確かである。ひとつは、末包が決して打つだけの選手ではないという点だ。俊足というわけではないが、脚力は平均的なレベルにあり、外野手としての肩の強さも備えている。そして間接的に追い風になるのが杉本裕太郎(オリックス)の存在だ。

 杉本も社会人からドラフト10位という低い順位でプロ入りし、最初の5年間は二軍暮らしが長かったものの、30歳となる昨シーズンにいきなり32本塁打を放ち大ブレイクを果たしている。

 社会人出身でしかも今年で26歳と言えば即戦力が期待されるのは当然だが、杉本の例を考えると少し長い目で見てみようという意見も出てくるはずだ。そう考えると大学でも4年間のほとんどをベンチで過ごし、社会人でも1年目は控えだったという経験もプラスになるはずだ。プロで今年苦しんだとしても、数年後に大輪の花を咲かせる可能性を十分に秘めた選手と言えるだろう。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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