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侍ジャパン

投手陣は収穫も三塁、外野、一番打者は…プレミア12の内容から「東京五輪」の選手選考を考える

氏原英明

2019.11.18

守護神の山﨑を筆頭にリリーバーは揃っているが、野手陣の選手層には課題を残した。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

守護神の山﨑を筆頭にリリーバーは揃っているが、野手陣の選手層には課題を残した。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 山田哲人(ヤクルト)や外崎修汰(西武)、浅村栄斗(楽天)と豊富に人材はいるのだが、稲葉監督が二塁手に求めるプレイヤー像が明らかではなく、3人を中心としながら、人選を進めていくことになろう。

 一方、課題として露呈したのが、三塁手、そして、外野手、そして先に挙げたトップバッターだ。

 今大会の三塁手は松田宣浩(ソフトバンク)と外崎が務め、外野手は近藤健介(日本ハム)、鈴木誠也(広島)、吉田正尚(オリックス)、追加招集の丸佳浩(広島)、そして、周東佑京(ソフトバンク)がいた。

 それぞれ役割は果たしたが、欲を言えば、長打力に迫力がなかった。できれば、複数ポジションを守れる人材は必要になってくる。1番打者は山田が最後に結果を残したとはいえ、適性を見出せたとは言い難い。
 
 三塁手で候補になるのが宮崎敏郎(DeNA)、岡本和真(巨人)だ。
 宮崎は、二塁と一塁も可能でバッティングの確実性が高く長打が打てる。岡本は1、3塁、そして外野もできるアーチストだ。

 一方の外野は秋山の代わりを探す必要があるが、柳田悠岐(ソフトバンク)が一番手に上がる。今大会は手術もあって辞退したが、必ず戦力になる。鈴木との3、4番コンビも目指せるだろう。

 トップバッターとしては、西川遥輝(日本ハム)、荻野貴司(ロッテ)、近本光司(阪神)が候補になる。

 今大会、盗塁の重要性が周東の活躍によって明るみになったが、浅いカウントで走れない課題も露呈した。彼の代走の際に5人の打者が三振をしたという事実は直接的ではないにしても、「走」を取るか「打」を取るかの駆け引きの中で、経験者であることの必要性を感じさせた

 西川、荻野、近本は1番打者の候補であると同時に、ベンチに残ったとしても、代走の役割を果たせる。貴重なピースとなりえる選手と言えるだろう。

 これから日本の野球界はオフシーズン入り、選手たちは新たな課題を克服するためのトレーニングに励み、オリンピックイヤーを迎える。金メダルが至上命題となっている中で、どう戦っていくのかは来季の注目になる。

 開幕からレギュラーシーズンの優勝とともに、「代表入り」が争われる2020年になることは間違いない。

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文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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