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プロ野球

ストレート22球で空振りなしも土壇場の精神的な強さは本物。「投手・根尾昂」の課題と長所<SLUGGER>

西尾典文

2022.06.18

 この日の試合を記録したノートには、野手についてではなく、投手としてのプレーについてのメモが残っていた。それだけピッチングが際立っていたことがよく分かる。何よりも自分のミスも絡んでのビハインドを取り返すために、自らのピッチングによってチームに流れを持ってくるという気持ちがよく感じられるものだった。

 この時のピッチングをそうだが、「投手・根尾」の大きな持ち味は、技術面よりもその落ち着いたマウンドさばきにあるのではないだろうか。
 
 2年春のセンバツ決勝では9回からマウンドに上がって試合を締め、3年春の決勝でも先発を任されて完投勝利を収め、史上初となる2年連続センバツ優勝投手となっている。この時のチームには他にも柿木蓮(日本ハム)、横川凱(巨人)と力のある投手がいたが、大事な場面で最も力を発揮できる投手は根尾との判断だったのだろう。

 プロでもある程度準備していたとはいえ、一軍のマウンドに上がっていきなり150キロをマークし、2度の登板でいずれも四死球を与えずに1回を無失点に抑えるというのは並の選手にできるものではない。「投手としての高い可能性を感じた」という立浪和義監督の言葉も、このパフォーマンスを見ればある程度納得できるファンも多いのではないだろうか。
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