▼菅野剛士(ロッテ)⇔西浦直享(ヤクルト)
阪神のロドリゲス獲得と同様、ロベルト・オスナを獲得したロッテにも「的外れ」との批判が向けられている。メジャーでは19年にセーブ王にもなった大物ではあるが、今のマリーンズに必要なのは、どうしようもなく低い攻撃力を解消できる打者だったからだ。交流戦に入って上向きにはなったが、それでもチーム打率.218はリーグ最下位。特に遊撃手はエチェバリアが.231(1本塁打)、藤岡裕大が.129、小川龍成も.120と総崩れになっている。
そこで打撃のいい(少なくともこの3人よりは)遊撃手として、西浦に目を付けた。今季は一軍で2試合しか出場していないが、18年と20年は10本塁打。今季もイースタン・リーグでは43試合で1本塁打のみながら、打率は.280と悪くない。打力不足を劇的に解消できるか、と言われると微妙かもしれないが、試してみる価値はあるだろう。スワローズの遊撃は長岡秀樹が定位置を確保し、元山飛優もいるので西浦を出せない状態ではない。ただし故障者が出た場合に備え、ベテランを置いておきたいと考える可能性はあるかもしれない。
仮に西浦放出にゴーサインを出すとしたら、代わりにヤクルトが獲得すべき選手は誰か。一番欲しいのは田口麗斗に次ぐ左のリリーフだが、残念ながらロッテに適任の交換要員がいない。
そこで視点を変え、昨季神がかり的に打ちまくった川端慎吾が不振に陥っている代打に標的を移すと、菅野の名前が挙がる。今季の代打成績は6打数1安打でも、一昨年は12打席で出塁率.500、昨年も同じく12打席で2本塁打と、代打屋としての実績は十分。代打専門ではなく、守りも悪くないので外野の層も厚くなるはずだ。
▼増井浩俊(オリックス)⇔中田翔(巨人)
ヤクルトと昨年の日本シリーズで死闘を繰り広げたオリックスだが、今季は7月1日時点で4位と苦戦中。その原因が、リーグ最少の200得点にとどまっている攻撃力不足なのは明白だ。特に本塁打数は72試合消化時点で29本と、深刻なパワー欠乏症に罹っている。
吉田正尚が故障に苦しんでいるのも理由だが、杉本裕太郎と吉田以外に3本塁打以上の打者が一人もいない異常事態。さらに言えば、本来攻撃の要となるべき一塁は、実に10人を先発で起用するなど、まったく固定できていない。中田ならそうした 「長打力」「一塁」という2つの要素を一度に解消でき得る。
今季もすでに2度の二軍落ちを経験しているが、118打数で7本塁打はそこまで悪くはない。OPS.726はオリックスの一塁手なら上位にランクされる。中田にとっても、巨人で批判を浴びながら代打要員に甘んじているより、高校時代を過ごした大阪で、ファイターズ時代からの仲である中嶋聡監督の下のほうが実力を発揮しやすいはずだ。
では、巨人は誰を獲得すればいいのか。欲しいのは左の中継ぎで、オリックスも海田智行ならば手放せそうだ。ただ中田との1対1ではネームバリュー的に釣り合わない。その点、増井なら(かつての)大物同士として申し分ない。二軍でも防御率5点台と苦しんでいる増井が、巨人の戦力になるのか? と訝しむ声もあるだろうが、ストレートの球速は150キロを超えており、交流戦でもヤクルトの強力打線を5回2失点に抑えるなど、まだ余力はありそうだ。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球「トレード」総検証』(いずれも言視舎)。
阪神のロドリゲス獲得と同様、ロベルト・オスナを獲得したロッテにも「的外れ」との批判が向けられている。メジャーでは19年にセーブ王にもなった大物ではあるが、今のマリーンズに必要なのは、どうしようもなく低い攻撃力を解消できる打者だったからだ。交流戦に入って上向きにはなったが、それでもチーム打率.218はリーグ最下位。特に遊撃手はエチェバリアが.231(1本塁打)、藤岡裕大が.129、小川龍成も.120と総崩れになっている。
そこで打撃のいい(少なくともこの3人よりは)遊撃手として、西浦に目を付けた。今季は一軍で2試合しか出場していないが、18年と20年は10本塁打。今季もイースタン・リーグでは43試合で1本塁打のみながら、打率は.280と悪くない。打力不足を劇的に解消できるか、と言われると微妙かもしれないが、試してみる価値はあるだろう。スワローズの遊撃は長岡秀樹が定位置を確保し、元山飛優もいるので西浦を出せない状態ではない。ただし故障者が出た場合に備え、ベテランを置いておきたいと考える可能性はあるかもしれない。
仮に西浦放出にゴーサインを出すとしたら、代わりにヤクルトが獲得すべき選手は誰か。一番欲しいのは田口麗斗に次ぐ左のリリーフだが、残念ながらロッテに適任の交換要員がいない。
そこで視点を変え、昨季神がかり的に打ちまくった川端慎吾が不振に陥っている代打に標的を移すと、菅野の名前が挙がる。今季の代打成績は6打数1安打でも、一昨年は12打席で出塁率.500、昨年も同じく12打席で2本塁打と、代打屋としての実績は十分。代打専門ではなく、守りも悪くないので外野の層も厚くなるはずだ。
▼増井浩俊(オリックス)⇔中田翔(巨人)
ヤクルトと昨年の日本シリーズで死闘を繰り広げたオリックスだが、今季は7月1日時点で4位と苦戦中。その原因が、リーグ最少の200得点にとどまっている攻撃力不足なのは明白だ。特に本塁打数は72試合消化時点で29本と、深刻なパワー欠乏症に罹っている。
吉田正尚が故障に苦しんでいるのも理由だが、杉本裕太郎と吉田以外に3本塁打以上の打者が一人もいない異常事態。さらに言えば、本来攻撃の要となるべき一塁は、実に10人を先発で起用するなど、まったく固定できていない。中田ならそうした 「長打力」「一塁」という2つの要素を一度に解消でき得る。
今季もすでに2度の二軍落ちを経験しているが、118打数で7本塁打はそこまで悪くはない。OPS.726はオリックスの一塁手なら上位にランクされる。中田にとっても、巨人で批判を浴びながら代打要員に甘んじているより、高校時代を過ごした大阪で、ファイターズ時代からの仲である中嶋聡監督の下のほうが実力を発揮しやすいはずだ。
では、巨人は誰を獲得すればいいのか。欲しいのは左の中継ぎで、オリックスも海田智行ならば手放せそうだ。ただ中田との1対1ではネームバリュー的に釣り合わない。その点、増井なら(かつての)大物同士として申し分ない。二軍でも防御率5点台と苦しんでいる増井が、巨人の戦力になるのか? と訝しむ声もあるだろうが、ストレートの球速は150キロを超えており、交流戦でもヤクルトの強力打線を5回2失点に抑えるなど、まだ余力はありそうだ。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球「トレード」総検証』(いずれも言視舎)。
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