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プロ野球

【2019総括・ソフトバンク】リーグ優勝を逃すが、圧倒的な選手層で3年連続日本一。どこも止められない試合運びの巧さも光った

氏原英明

2019.11.29

▶2019年を象徴する試合
9月12日/ソフトバンク3−2西武/メットライフドーム
ソ |000 000 021|3
西 |000 000 011|2
[勝]千賀滉大(13-7-0)
[敗] 平井克典(5-3-0)
[S]森唯斗(2-3-31)
[本]ソ:グラシアル(25)、西:中村 剛也(29)

 ポストシーズンで見せた部類の強さを振り返った時に想起されるのが、レギュラーシーズン、最後の天王山となったこの日の試合だった。

 連戦での対決で、前日は先発に高橋礼を立てながら敗れていた。2戦目も落としていたら、もっとあっさりシーズンを終えていただろう。だが、この試合にこそ、ソフトバンクの強さが表れていた。

 先発したのは千賀。9月6日のロッテ戦でノーヒッターを達成した直後の試合とあって、敵将・辻発彦監督からは「さすがに2試合連続(ノーヒッター)はないやろ」と、重たいものを背負った中でのピッチングだった。しかし、千賀はここで西武打線を黙らせた。4回までパーフェクトで抑え、7回をゼロに封した。

 試合は0対0の同点で8回の攻防へ。

 ここから試合が動くのだが、ソフトバンクの選手層と戦い方のうまさばかりが目立った。

 まず、西武の2番手・平井克典から、先頭のグラシアルが左翼スタンドへ放り込んで1点を先制。続く4番のデスパイネが中前安打で出塁すると、ソフトバンクベンチはすかさず代走に周東を送った。続く柳田が右翼前安打でつないで一、三塁と好機を広げると、6番の松田が犠牲フライを放って追加点。その裏に1点を失うものの、9回に守備固めで入っていた高田知季がスクイズを決めて突き放した。

 ポテンシャルの高い選手で得点を狙うケースと、小技を駆使しながら1点を取りにいくケースをスイッチしながら戦う。CS、日本シリーズで存分に発揮したソフトバンクの選手層の厚さ、試合巧者ぶりを象徴する試合だった。
▶来季のキーマン 
髙橋純平

 5月に一軍に定着すると、すべてリリーフとしてマウンドに上がって46登板、防御率2.65、3勝2敗17ホールドをマークした。

 一軍定着1年目での成績としては十分すぎるだろう。見方によっては、今季、ルーキーとしてチーム最多登板の甲斐野との名コンビも結成できる、という期待も生まれてくる。

 ただ、シーズン終盤に岩嵜や石川が復帰。セットアップにモイネロがどっしり座っている状況下で来季もリリーフとなると、髙橋純の可能性を消しかねない。そう考えた時に、来季からは先発転向が視野に入ってくるのではないか。

 髙橋純は強いストレートやフォークを持ち味とするが、甲子園を沸かせ、U-18日本代表として活躍していた頃は、カーブなど多彩な変化球を駆使してゲームメイクができるバランス型の好投手だった。

 ソフトバンクは今後、エースの千賀が海を渡ることも想定しなくてはならない。先発の中心になるだけの器とスター性を、髙橋純は持っている。期待値も含め、来季のキーマンとしたい。

文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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