専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
高校野球

大阪桐蔭に続いて近江にも“下剋上”!下関国際が見せるセオリー通りの“古き良き戦術”の強さ<SLUGGER>

氏原英明

2022.08.20

 状況に順応したのは仲井だけではない。打線も、プロ注目の近江のエース山田陽翔を見事に攻略した。

 坂原監督は山田相手にどうチャンスを作るかがカギと見抜き、選手たちにあの手この手で出塁を求めた。

「足を高く上げないようにすること、早めにステップして待つなどの対策をしました。そのあたりの選択は個人個人に任せましたが、バットを短く持つことなども指示しました。それでもボールが見えていなかった選手には、見逃し三振になってもいいから『待て』のサインを出したりしていました」

 同点で迎えた6回表、3番の仲井が粘って四球を選ぶと、4番の賀谷勇斗も打ち気にはやることなく、しっかりボールを選んで無死一、二塁の好機を作った。さらに5番の水安勇の送りバントがフィルダースチョイスになって満塁。そして1死後、7番の森凛琥が山田のストレートをコンパクトに打ち返してライト線に落とすタイムリー二塁打を放ち、2点を勝ち越した。

 森は執念の一打をこう振り返っている。

 
「その前の2打席は同じ打ち取られ方(連続併殺打に倒れて)でチャンスを潰していたので、絶対に(ランナーを)返すつもりで打席に立ちました。(山田への対策は)特にしてないんですけど、とにかく振り負けないようにしっかり練習してきたんで、ヘッドをしっかり立ててバットを出そうと思いました」

 7回にも下関国際が1点を加えると、近江は山田に代えて星野世那を投入したが、それでも勢いは止められなかった。下関国際は8回にも連続スクイズを決めるなどして着実に加点し、8対2と試合を決めてしまった。

 投手交代で流れを相手に渡さないように細心の注意を払い、攻撃面ではしっかりボールを選び、基本通りに打ち返すことに徹し、最後は小技も決める。坂原監督の「相手を自分たちの型にはめる采配」は完璧に遂行された。
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号