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高校野球

大阪桐蔭に続いて近江にも“下剋上”!下関国際が見せるセオリー通りの“古き良き戦術”の強さ<SLUGGER>

氏原英明

2022.08.20

 昨今の高校野球には、まるでメジャーリーグのように強打を意識した打撃も広まりつつあるが、そんな中でも下関国際はセオリー通りの試合運びを見せている。新しいものは何一つなかったが、ここまで徹底されるとそれはそれで強みを感じるというものだ。

 日本の高校野球チームは、大きく分けて3つのタイプに大別される。

①勝つために、選手たちに戦術を徹底して叩き込んでいるチーム
②勝ちながら将来も考えるチーム
③勝利は度外視で選手の育成のみを考えるチーム

 ②の代表格が大阪桐蔭や智弁和歌山高で、③は京都国際高が当てはまる。もちろん。下関国際は①だ。

「仕込まれているチームだという印象を受けました。しぶといチームだなと」

 準々決勝で下した大阪桐蔭の西谷浩一監督からそう称賛されたように、徹底的に仕込まれた戦い方は、同じ①に属する強豪・明徳義塾高を彷彿とさせるものだ。坂原監督も、選手たちのおかげで徹底的に勝ちにこだわることができると喜ぶ。
 
「選手たちの成長に本当に驚いています。県大会を勝ち上がるごとに、そして甲子園に入ってからも、1試合ごとに今まで見たことがないような力を発揮してくれている。(決勝戦の相手である)仙台育英さんは非常に能力の高いチームですので、チーム一丸となって、本当にただただ食らいついていく。それだけだと思います」

 今大会の覇を争う仙台育英高もまた、須江航監督によって「仕込まれた」、①タイプのチームだ。だが、その戦術は下関国際とは対極。全試合で3人以上の投手を起用し、データに基づいた大胆なポジショニングも敷くなど「新時代の戦略」を率先して取り入れている先進的なチームでもある。

 古き良き高校野球が勝つか、それともこれまでになかった新鮮な戦い方が優るのか。

 今大会の決勝戦が、高校野球のこれからを占う大一番になることは間違いない。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。

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