さて、内野陣に話を移そう。順不同だが、一・三塁コンビには大阪桐蔭打線を支えた丸山と伊藤を選んだ。彼らなくして今年の大阪桐蔭は語れなかった。
丸山は打率こそ高くなかったが、打たれると嫌な場面では必ず打っていた印象だ。チームが苦戦した1回戦の旭川大戦では、勝ち越した後に点差を広げる追撃タイムリーを打ったし、2回戦と3回戦は流れを引きせる初回の先制タイムリーを放った。「ここを抑えれば乗れる」という場面で、必ず相手を打ち崩した勝負強さが素晴らしかった。
また、脅威のリードオフマン・伊藤に対しては、どう抑えるかに各チームが頭を悩ませたはずだ。初戦の対旭川大戦では7回裏に勝ち越しの本塁打を放ち、2回戦以降はいずれも初回に先制ホームを踏んでいる。
セカンドには、初のベスト4入りを果たした聖光学院の“攻撃的2番”高中を選出。積極的な打席のアプローチが印象に残った選手で、1回戦の日大三戦では逆転本塁打を放っている。全試合に出場して17打数8安打と5割近いアベレージをマークし、打線を勢いづかせる存在感が光った。
遊撃手は、攻守に輝きを見せた社の福谷を選んだ。チームは2回戦で敗退したため、大会での印象はベスト4の聖光学院の赤堀楓や、2回戦で4打数4安打3打点を挙げた長田悠也(國学院栃木)も強かったが、福谷は右方向への打球が出色のスラッガータイプで、守備も軽快な動きが光った。山田哲人(ヤクルト)を彷彿とさせるポテンシャルの持ち主で、今後の伸びしろに期待しての選出だ。
複数の候補が並び立った他のポジションとは異なり、外野は迷わず3人を選ぶことができた。ドラフト上位候補の呼び声高い浅野はケチのつけようがないだろう。失投を確実にモノにする勝負強さに、卓越したバットコントロールとパワー。今大会の中で「個」でもっとも力を発揮した選手だった。
聖光学院の主砲・三好は「いかにも4番」という頼りになるタイプで、ここ一番の場面に強かった。2年生とは思えない風格で打席に立ち、準々決勝の九州学院戦での1試合4打点など結果も残した。筋骨隆々なスラッガータイプではないが、どのようなボールにも対応できる打撃センスが素晴らしかった。
ドラフト上位候補の投手として注目された山田だが、ここでは「打」を評価した。バットスウィングは褒められたものではないが、海星と対戦した3回戦での満塁弾は圧巻。ここしかない場面で打った勝負強さは、強烈なインパクトを残した。
文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
丸山は打率こそ高くなかったが、打たれると嫌な場面では必ず打っていた印象だ。チームが苦戦した1回戦の旭川大戦では、勝ち越した後に点差を広げる追撃タイムリーを打ったし、2回戦と3回戦は流れを引きせる初回の先制タイムリーを放った。「ここを抑えれば乗れる」という場面で、必ず相手を打ち崩した勝負強さが素晴らしかった。
また、脅威のリードオフマン・伊藤に対しては、どう抑えるかに各チームが頭を悩ませたはずだ。初戦の対旭川大戦では7回裏に勝ち越しの本塁打を放ち、2回戦以降はいずれも初回に先制ホームを踏んでいる。
セカンドには、初のベスト4入りを果たした聖光学院の“攻撃的2番”高中を選出。積極的な打席のアプローチが印象に残った選手で、1回戦の日大三戦では逆転本塁打を放っている。全試合に出場して17打数8安打と5割近いアベレージをマークし、打線を勢いづかせる存在感が光った。
遊撃手は、攻守に輝きを見せた社の福谷を選んだ。チームは2回戦で敗退したため、大会での印象はベスト4の聖光学院の赤堀楓や、2回戦で4打数4安打3打点を挙げた長田悠也(國学院栃木)も強かったが、福谷は右方向への打球が出色のスラッガータイプで、守備も軽快な動きが光った。山田哲人(ヤクルト)を彷彿とさせるポテンシャルの持ち主で、今後の伸びしろに期待しての選出だ。
複数の候補が並び立った他のポジションとは異なり、外野は迷わず3人を選ぶことができた。ドラフト上位候補の呼び声高い浅野はケチのつけようがないだろう。失投を確実にモノにする勝負強さに、卓越したバットコントロールとパワー。今大会の中で「個」でもっとも力を発揮した選手だった。
聖光学院の主砲・三好は「いかにも4番」という頼りになるタイプで、ここ一番の場面に強かった。2年生とは思えない風格で打席に立ち、準々決勝の九州学院戦での1試合4打点など結果も残した。筋骨隆々なスラッガータイプではないが、どのようなボールにも対応できる打撃センスが素晴らしかった。
ドラフト上位候補の投手として注目された山田だが、ここでは「打」を評価した。バットスウィングは褒められたものではないが、海星と対戦した3回戦での満塁弾は圧巻。ここしかない場面で打った勝負強さは、強烈なインパクトを残した。
文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
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