当時、カーディナルスは通算何度目かの黄金期を迎えていて、同年もワールドシリーズを制覇するのだが、プホルスは01年にナショナル・リーグの新人王(アメリカン・リーグはイチローだった)となり、前年の05年には初のMVPに輝いたばかりだった。
プーホルスが当時、こう言ったのを記憶している。
「ソウ(田口氏)はいつも真面目な顔してるだろ? 滅多に笑わないけど、本当はとても素敵な笑顔を持っているって誰もが知っている。だから、ああやって彼を笑わせるとこっちも嬉しくなるんだ。もちろん、(日本語なので)歌の意味はよく分からないけど、ゆっくりストレッチをするにはとてもいいリズムだし、これからもやろうと思っているよ!」
今、振り返ってみると、なかなかの風景だった。
プーホルスが『与作』に合わせてストレッチしてるかと思えば、当時メジャー3年目、23歳の若手捕手だったヤディアー・モリーナが遠慮がちに「ねぇ、ねぇ、ソウ!」と田口氏のところにやって来ては、何事か話しかけて、笑わせる。かと思えば、遠征先では当時、2年目の救援投手だったアダム・ウェインライト投手が、妙な日本語を言いそうになり、「この人には使ったらアカンやろ!」と念押しされていたりしたのだ。 当時のカーディナルスはトニー・ラルーサ監督が率いていて、後に「カーディナル・ウェイ(カーディナルス流)」などと呼ばれる「勝利の構築法」が浸透していた。クラブハウスにはいつも、弛緩した中にもある種の緊張感のようなものが漂っていた。前夜の試合での代打起用の失敗を責め立てるメディアと、理路整然と起用の理由と成功の確率を説明するラルーサ監督の間にも、ピリピリした空気が流れていた記憶がある。
そのラルーサ監督は当時、プーホルスについて、こう言っていた。
「多くの人は彼が(マーク・)マグワイアみたいなホームラン・ヒッターだと思っているようだが、基本的にはラインドライブ・ヒッターなんだよ。センターを中心に強い打球を打ち返していくのが彼の真骨頂でね。打撃練習を見れば一目瞭然だが、彼の場合、そのラインドライブが他の多くの選手たちよりも飛距離が出ているから、ホームランになっているだけの話なんだ」
打撃練習の1巡目。ラルーサ監督の言う通り、プーホルスはセンターを中心に軽く打ち返す。この時点でも強く鋭い打球がフェンスを直撃したりするのだが、2巡目以降になって力を入れて振り出すと、その打球の速さは圧倒的で、外野の観客席のシートが壊れるんじゃないかと思うほど強烈な打球を飛ばしていた。
プーホルスが当時、こう言ったのを記憶している。
「ソウ(田口氏)はいつも真面目な顔してるだろ? 滅多に笑わないけど、本当はとても素敵な笑顔を持っているって誰もが知っている。だから、ああやって彼を笑わせるとこっちも嬉しくなるんだ。もちろん、(日本語なので)歌の意味はよく分からないけど、ゆっくりストレッチをするにはとてもいいリズムだし、これからもやろうと思っているよ!」
今、振り返ってみると、なかなかの風景だった。
プーホルスが『与作』に合わせてストレッチしてるかと思えば、当時メジャー3年目、23歳の若手捕手だったヤディアー・モリーナが遠慮がちに「ねぇ、ねぇ、ソウ!」と田口氏のところにやって来ては、何事か話しかけて、笑わせる。かと思えば、遠征先では当時、2年目の救援投手だったアダム・ウェインライト投手が、妙な日本語を言いそうになり、「この人には使ったらアカンやろ!」と念押しされていたりしたのだ。 当時のカーディナルスはトニー・ラルーサ監督が率いていて、後に「カーディナル・ウェイ(カーディナルス流)」などと呼ばれる「勝利の構築法」が浸透していた。クラブハウスにはいつも、弛緩した中にもある種の緊張感のようなものが漂っていた。前夜の試合での代打起用の失敗を責め立てるメディアと、理路整然と起用の理由と成功の確率を説明するラルーサ監督の間にも、ピリピリした空気が流れていた記憶がある。
そのラルーサ監督は当時、プーホルスについて、こう言っていた。
「多くの人は彼が(マーク・)マグワイアみたいなホームラン・ヒッターだと思っているようだが、基本的にはラインドライブ・ヒッターなんだよ。センターを中心に強い打球を打ち返していくのが彼の真骨頂でね。打撃練習を見れば一目瞭然だが、彼の場合、そのラインドライブが他の多くの選手たちよりも飛距離が出ているから、ホームランになっているだけの話なんだ」
打撃練習の1巡目。ラルーサ監督の言う通り、プーホルスはセンターを中心に軽く打ち返す。この時点でも強く鋭い打球がフェンスを直撃したりするのだが、2巡目以降になって力を入れて振り出すと、その打球の速さは圧倒的で、外野の観客席のシートが壊れるんじゃないかと思うほど強烈な打球を飛ばしていた。
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