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プロ野球

最多本塁打11本の近藤健介が超大型契約を提示される「理由」。日本ハムは“絶望的な課題”を克服できるか

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2022.11.23

新庄監督体制で2年目を迎える日本ハム。しかし、近藤が抜ければ一気に出塁能力が減退する可能性が高い。写真:塚本凛平(THE DIGEST)

新庄監督体制で2年目を迎える日本ハム。しかし、近藤が抜ければ一気に出塁能力が減退する可能性が高い。写真:塚本凛平(THE DIGEST)

 この6年間のボール球スウィング率はいずれも18.7%以下にとどめ、リーグ平均より10%近く優秀かつリーグトップ3以内。ただ見極めが素晴らしいだけでなく、空振り率も毎年上位に入っていて、ストライクゾーンに来たらしっかり当てられるし、ボール球に手を出さないという理想的なアプローチを実践している。四球と三振の比を表すBB/Kは1.00を超えたらかなり優秀とされている中、近藤は4年連続で1.00以上というのは改めて見事という他ない。

 走塁と守備は平均程度(レフトに限ればまずまず優秀)、打撃もパワー面は平凡ながら、それを補って余りある極上の選球眼とアベレージ。近藤に大金が積まれる理由はまさにここにあると言っていい。移籍が実現すれば、余程のことがない限りはチーム打率と出塁率が向上するはずである。ただ、逆に言えば来季以降の日本ハムはこの2点、特に出塁率の面で苦戦は免れないだろう。

 今季の出塁率.413でリーグ3位の近藤がいてもなお、日本ハムのチーム出塁率は12球団ワーストの.292。新庄剛志監督の下、積極的にスウィングすることを志向して昨年最少だった本塁打数は78本からリーグ4位の100本まで増えたものの、積極性の諸刃の剣で肝心な出塁することができなくなっていた。
 
 日本ハムで今季100打席以上立った選手は18人。その中でボール球スウィング率がリーグ平均(29.4%)より良かったのは近藤(18.7%)、上川畑大悟(26.6%)、杉谷拳士(27.9%)、清宮幸太郎(28.4%)、石井一成(28.9%)の5人だけ。杉谷は現役を引退し、近藤が移籍となればフリースウィンガーの割合がさらに増えることになる。

 近藤はチーム全体の約19%にあたる四球を獲得しており、単純に近藤を抜いた今季のチーム出塁率は.282で1分も下降。昨オフは同じく抜群の選球眼を誇っていた西川遥輝がノンテンダーで楽天へ移籍し、このオフは“こんちゃん”も他球団、しかもパ・リーグへの流出が濃厚な状況。新本拠地は、札幌ドームから一転して標準的なサイズとなるため本塁打数は上昇しそうだが、致命的な課題である出塁能力がさらに悪化すれば空砲が増えることになりかねない。

 果たして球界最高クラスの打席アプローチを誇る近藤を獲得する球団はどこになるのか。そして彼の加入により、チーム成績はどれほど影響を受けるのか。日本ハムを含めて来季以降の推移を一つ見守りたいところだ。

構成●新井裕貴

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