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韓国球界のエースとして君臨し続けたキム・グァンヒョン。5年越しのメジャー行きの夢は今度こそ叶うか?

室井昌也

2019.11.27

 誰もが認める韓国のエースのメジャー行き。だが順調に事は進まなかった。キム・グァンヒョンに対し、パドレスが200万ドルで交渉権を獲得し、年俸交渉が進められたが合意に至らず、国内残留が決まった。その年、キム・グァンヒョンは結婚。翌15年には通算1000奪三振を達成し、プロ10年目となった16年、通算100勝に到達。同年オフにFA残留してSKと4年契約を結んだ。

 それと同時期に、球団との協議の上でトミー・ジョン手術を決断。17年をリハビリに充て、翌18年、トレイ・ヒルマン監督(当時)の下、投球数に制限を設けながら11勝を挙げて優勝の立役者となった。

 そして今年、キム・グァンヒョンは完全復活を果たす。190.1回を投げて17勝6敗、リーグ3位の防御率2.51を記録したのだ。投球後、軸足を高く蹴り上げる躍動感のあるフォーム、あどけなさの残る笑顔、そしてどこか甘えたような喋り方は、31歳になった今でも北京五輪の頃と変わりない。キム・グァンヒョンは“永遠の20歳”を思わせる。その姿に多くのファンが魅了されている。
 今季、メジャーで最優秀防御率のタイトルを獲得したリュ・ヒョンジンは、高卒1年目からベテラン投手のような安定感と投球術で打者を圧倒していた。しかしキム・グァンヒョンはそれとは対照的。好不調の波がある中、大舞台ではマウンドで弾け、想像を超えるような快投を見せてきた。

 最速150km台の速球と低めに決まる平均136kmの切れのあるスライダー。その2つの武器と比べて、大きく球速差のあるツーシームとカーブで緩急を生かし、打者を抑えてきたキム・グァンヒョン。彼はメジャー進出に向け、球団を介してこうコメントした。「メジャーリーグのマウンドで投げるのは野球を始めた時から温めてきた長年の自分の夢だ。今後、韓国野球とSKファンの誇りを守れるようにベストを尽くしたい」

「メジャーで活躍するか」ではなく、「メジャーで投げる姿を見てみたい」と思わせる投手、キム・グァンヒョン。彼の夢は今度こそ叶うだろうか。

文●室井昌也(韓国プロ野球の伝え手)

【著者プロフィール】
むろい・まさや/1972年、東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりは日本のメディアや球団などでも反映されている。

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