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プロ野球

DeNA戦力外の宮本秀明。“藤田の心得”を胸に「あきらめたくない。あきらめられない」

萩原孝弘

2022.12.01

藤田からのアドバイスが課題の打撃に大きく影響。今季は自己最高の成績を残していたが……。写真:萩原孝弘

藤田からのアドバイスが課題の打撃に大きく影響。今季は自己最高の成績を残していたが……。写真:萩原孝弘

 一つ目はバッティングについて。「『バットが長いんじゃない? 俺の使ってみれば?』と、藤田さんの使っていたバットを譲っていただきました。短いことでコンタクトしやすくなりまして、ホームランの時もそのバットでした」と、課題の打撃面で手ごたえをつかんだ。譲り受けたバットと同等の型で注文し、「より集中力が増すように」と色は黒を選択した。

 二つ目は心の持ちようだった。「『常に同じ心境でバッターボックスに立ちなさい』と教えていただきました。大差の2アウトランナー無しでも、エラーした直後でも、ノッていてもいなくても同じリズム、同じ間合い、常に同じメンタルで試合に入れないと、一軍でのチャンスのときに絶対に結果は残せない。

 野球はピッチャー主導のスポーツですが、間合いが合わなければタイムを取るなどでなるべく自分のペースに持ってくるようして、ベンチからでも相手ピッチャーを常に観察して、準備を早めに整えることが大事だよとアドバイスいただきました」。
 
これらの金言を実践し、フラットなメンタルを手に入れた結果、「二軍では自分でもびっくりするような数字が残せました」。前年は二軍で打率.247、2本塁打だったが、今年は規定打席にこそ到達していないが、打率.347、5本塁打、OPS.977と見違えるような成績を残した。俊足を生かして二塁打10本、三塁打4本、盗塁16と、目指していた梶谷隆幸(現巨人)のプレースタイルに近づいた。

 しかし「頂いたチャンスを生かさないと、また二軍に逆戻りとなる。絶対に結果を出さないと」とのプレッシャーもあり、一軍では力を発揮できなかった。二軍監督から目をかけてくれていた三浦監督には「本当に感謝しています。今年もチャンスを与えていただいたにも関わらず、自分でモノにできませんでした」と自責の念も胸に去来した。

 切り替えられぬまま、17日にはスーツに身を包み選手や首脳陣と挨拶に向かった。最初に挨拶した藤田に「『トライアウト受けようと思います』と報告に行ったんですけど、『受けようじゃなくて受けろ』と言ってもらいました。やらなきゃとの気持ちに余計になりましたね」と、背中を押されて自分でも気持ちが奮い立った。
 
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