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MLB

スーパースターの移籍が破談になる“大どんでん返し”が19年前にもあった!幻に終わったA-RODの“世紀のトレード”<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.12.24

 だが、“世紀のトレード”は結局、実現しなかった。

 レッドソックスがA-ROD側に求めていた契約の見直し(残り契約3000万ドルを減額する代わりに球団ロゴの使用権をA-RODに認めるものだった)を、MLB選手会が「減額にあたる」として認めなかったからだ。

 レッドソックスもレンジャーズも、当時のコミッショナーも巻き込んで何とかトレード成立へ向けて奔走したが、12月23日になってレンジャーズのオーナーが「トレード話は死んだ」と宣言して正式に幕引きとなった。

“主役”たちのその後も興味深い。

 それからわずか2ヵ月後、A-RODは電撃トレードで今度はレッドソックスの宿敵ヤンキースへ移籍した。以降、引退までの13年間ピンストライプのユニフォームを着て2度のMVPに輝いた半面、薬物スキャンダルで大きな汚点を残した。
 一方、A-ROD獲得を逃したばかりか、憎きライバルのヤンキースにさらわれたレッドソックスはその年、見事に屈辱を晴らしてみせた。リーグ優勝決定シリーズでヤンキースと対戦し、0勝3敗から奇跡の4連勝。ワールドシリーズでもカーディナルスを蹴散らし、“バンビーノの呪い”を解いて86年ぶりのワールドチャンピオンに輝いた。

 そして、ワールドシリーズでMVPに輝いたのは、A-RODのトレードでレンジャーズへ放出されるはずだったラミレスだった。ラミレスはその後も主砲として活躍し、07年にも世界一に輝いた。06年にメジャーデビューを果たしたレスターも、07年にノーヒッターを達成するなどエースへ成長した。

 こうして振り返ると、“世紀のトレード”が成立しなかったことが、むしろレッドソックスにとっては有利に働いたようにも思えてくる。今回のコレアの件も、今のところはジャイアンツが「負け組」、メッツが「勝ち組」のように扱われているが、結論を出すにはまだ早計だということを歴史が教えてくれている。

構成●SLUGGER編集部

 
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