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侍ジャパン

まさかのWBC代表落選も?侍ジャパンを長年支えてきた坂本、山田、菊池の「微妙な立場」【氏原英明の直球勝負】<SLUGGER>

氏原英明

2022.12.30

 菊池は10年連続ゴールデングラブ賞獲得という偉業を達成。球界屈指の二塁守備力を誇る。代表では15年の第1回プレミア12からレギュラーを獲得。17年のWBCでは再三再四好プレーを披露。二次リーグ初戦のオランダ戦でのファインプレーは同大会のハイライトシーンでもあった。傑出した打撃力はなくとも、守備での貢献度の高さから「外せない選手」との評価を得ていた。

 だが、今回のWBCに関してはこれまでと事情が違う。

 山田が守る二塁手のポジションには、若い牧秀悟(DeNA)が台頭。浅村栄斗(楽天)も控え、彼らが2ポジションを守れる分の遅れをとっている。加えて、大谷の参戦も少なからず影響を与えている。というのも、大谷が野手として出場する場合はDH固定起用が濃厚だ。そうなった場合、過去の国際大会でそうしていたように、DHを複数選手で回すということができなくなる。

 山田は一塁を守った経験もあるが、浅村、牧に比べて経験値が少なすぎる。大谷をDH固定と考えた場合は牧、浅村の方が使い勝手がいい。菊池に関しても同じで、二塁しか守れないために起用が限られてしまう。
 
 一方、坂本は本来なら落選は考えにくい選手だ。そもそも現在の日本球界は遊撃手の人材が不足している。源田と対になる右打者で、経験も豊富な坂本の存在感は貴重なのだが、いかんせん、昨季のパフォーマンスが悪すぎた。故障や私生活の問題で調子を落としただけなのか、それとも選手としてのピークを過ぎたのか。判断がしづらいのである。

 実績十分の3人を斬るという選択肢は容易ではないはずだ。とはいえ、今年のサッカーW杯で代表の常連選手をサムライブルーから外した森保ジャパンが結果を残したように、世代交代には抗うことはできない事実という側面もある。

 ベテランの経験と存在感に賭けるのか。それとも、チーム構成のバランスを優先するのか。栗山監督の「決断」が注目される。

文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。

 
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