ダルビッシュの背中を追いかけることの意義は大きい。一つひとつの行動に意味があり、それを知ることが日本野球界にとっても財産になる。ダルビッシュ自身もそれを伝えることの大きさを感じているという。
ダルビッシュはこう語っている。
「日本にいるとなかなか最新の情報が得られないと思うので、しっかり情報共有してお互いが成長していけたらなっていう風に思っています。勝ち負け以外にも、そういうことをしていきたいと思う」
この言葉で聞き逃せないのは「お互いに」という部分だ。まだチームに合流したばかりだが、ダルビッシュ本人から他の投手に問いかけることが多く、あらゆる選手の考えを自分の財産にしようという姿勢が見て取れる。
「キャリアとかは正直関係なくて、やっぱり自分たちはお金をいただいて野球をしていますし、プロであるので、ずっと成長するという姿勢は崩しちゃいけないと思う。特に自分はアメリカ生活が長いですから、年功序列とかそういうのはまったく考えてないんです。その中で今日は山本(由伸)君であったり、佐々木(朗希)君や他の選手と話している中で、何でこういう風にしてるんだろうという理由とか、すごく勉強になることがたくさんありましたね」
思えば、第5回WBCへ向けての侍ジャパンの風向きが変わったのは昨年11月17日のことだった。 この日、大谷翔平(エンジェルス)が自身のインスタグラムでWBC参戦を表明。それから3週間後の12月6日にはダルビッシュが、同8日には鈴木誠也(カブス)も相次いで参加することを明らかにして、一気に侍ジャパンへの期待度が高まった。
その後も、母親が日本人であるラーズ・ヌートバー(カーディナルス)も内定と噂が広まり、今季からメジャーに舞台を移す吉田正尚(レッドソックス)も「できることなら出たい」と強い意志を明かし、「史上最強」とも言われるメンバーが完成したのだった。
大谷や鈴木の代表合宿参加はMLB球団の意向もあって叶わなかった。だが今、「特例」として合流が認められたダルビッシュを中心にして、これまでと異なる変化がチームに生まれようとしている。
「人と人との距離がすごく近いというのは日本のチームにはあると思う。この短期間でなかなかまとまりづらいと思うんですけど、このチームの場合はそれができると思うので、チーム一丸となった野球が見せられたら」
日本人のメジャーリーグ挑戦には大きく2つ意味があると思う。1つはその選手が成功を収めるのかどうか。そして、もう1つは彼らの学びから日本の野球界が何を得ていくかだ。
合宿初日でのダルビッシュの一言一言にはただ深く頷くばかりだった。選手だけでなく、ファンやメディアも貴重な時間をもらっている気がする。
文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。https://lit.link/hideaki817
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ダルビッシュはこう語っている。
「日本にいるとなかなか最新の情報が得られないと思うので、しっかり情報共有してお互いが成長していけたらなっていう風に思っています。勝ち負け以外にも、そういうことをしていきたいと思う」
この言葉で聞き逃せないのは「お互いに」という部分だ。まだチームに合流したばかりだが、ダルビッシュ本人から他の投手に問いかけることが多く、あらゆる選手の考えを自分の財産にしようという姿勢が見て取れる。
「キャリアとかは正直関係なくて、やっぱり自分たちはお金をいただいて野球をしていますし、プロであるので、ずっと成長するという姿勢は崩しちゃいけないと思う。特に自分はアメリカ生活が長いですから、年功序列とかそういうのはまったく考えてないんです。その中で今日は山本(由伸)君であったり、佐々木(朗希)君や他の選手と話している中で、何でこういう風にしてるんだろうという理由とか、すごく勉強になることがたくさんありましたね」
思えば、第5回WBCへ向けての侍ジャパンの風向きが変わったのは昨年11月17日のことだった。 この日、大谷翔平(エンジェルス)が自身のインスタグラムでWBC参戦を表明。それから3週間後の12月6日にはダルビッシュが、同8日には鈴木誠也(カブス)も相次いで参加することを明らかにして、一気に侍ジャパンへの期待度が高まった。
その後も、母親が日本人であるラーズ・ヌートバー(カーディナルス)も内定と噂が広まり、今季からメジャーに舞台を移す吉田正尚(レッドソックス)も「できることなら出たい」と強い意志を明かし、「史上最強」とも言われるメンバーが完成したのだった。
大谷や鈴木の代表合宿参加はMLB球団の意向もあって叶わなかった。だが今、「特例」として合流が認められたダルビッシュを中心にして、これまでと異なる変化がチームに生まれようとしている。
「人と人との距離がすごく近いというのは日本のチームにはあると思う。この短期間でなかなかまとまりづらいと思うんですけど、このチームの場合はそれができると思うので、チーム一丸となった野球が見せられたら」
日本人のメジャーリーグ挑戦には大きく2つ意味があると思う。1つはその選手が成功を収めるのかどうか。そして、もう1つは彼らの学びから日本の野球界が何を得ていくかだ。
合宿初日でのダルビッシュの一言一言にはただ深く頷くばかりだった。選手だけでなく、ファンやメディアも貴重な時間をもらっている気がする。
文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。https://lit.link/hideaki817
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