バッテリーによる勝因はもうひとつあった。2回から、スライダー主体のピッチングへと切り替えたのだ。
「平良ともイニング間で話をして、自分としてはスライダーがいいと思ったので、多めに使っていこうと」(古賀)
「スライダーが結構、(打者の)反応がいいかなと思ったので、結構投げました」(平良)
バッテリー共に、この日の試合で手応えを感じるボールだったスライダー。先発初登板の4月2日(オリックス戦)では、115球中13球で全体の11.3%で、前回のロッテ戦では104球中19球で18.3%だったものが、今回は106球中35球で、全体の33.0%とその比率は跳ね上がっていた。
スライダーを多投した理由。単にいいボールだったというだけでなく、古賀にはしたたかな計算があった。
「自分が打者だった場合、平良が投げるとなったら、やはり速い球に合わせるというのが普通の考え方だと思いました。相手には一流の打者がいっぱいいますが、オーソドックスな相手の考え方なら、速い球に合わせてくるだろうと思いました」
実際にソフトバンクの打者には、甘いコースのスライダーに手が出ず見逃すケースもあった。平良のイメージを逆手にとった古賀のリード。試合前に平良自身が意識していた「フライを打たせないピッチング」とはならなかったが、結果的には6回1失点。3試合連続クオリティスタートを達成し、チームの勝利にも繋がっていった。
捕手として、チームを勝利に導いただけでなく、打者としてはこの日、3回に犠打を決め、6回にはヒットを放った。課題の打撃でも結果を見せた古賀だが、捕手としての反省も忘れていない。
「自分の中では、8回の後逸が青山に無駄な失点を与えてしまった。自分があそこで止めていればという思いとかもいろいろあります。ただ、最近自分の中で試合にあまり勝てていなかったですし、失点も多かった中で、今日は打線の援護が大きかったのもありますけど、本当に勝てて良かったなと思います」
2年目ながら捕手として奮闘する古賀を、松井監督はこう表現する。
「古賀も柘植もそうですが、本当にお互い切磋琢磨して、自分のいいところを引き出してきてくれていますからね。古賀にも思いっきりやってもらいたいと思いますし、キャッチャーとして堂々としてもらいたいと思います」
正捕手・森友哉がFAでチームを離れていなければ、見ることができなかった景色を見ている古賀悠斗。柘植世那との正捕手争いの中で、リーグ屈指の投手陣の導き手として、どんな進化を遂げていくのか。
取材・文●岩国誠
【著者プロフィール】
岩国誠(いわくにまこと):1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。
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「スライダーが結構、(打者の)反応がいいかなと思ったので、結構投げました」(平良)
バッテリー共に、この日の試合で手応えを感じるボールだったスライダー。先発初登板の4月2日(オリックス戦)では、115球中13球で全体の11.3%で、前回のロッテ戦では104球中19球で18.3%だったものが、今回は106球中35球で、全体の33.0%とその比率は跳ね上がっていた。
スライダーを多投した理由。単にいいボールだったというだけでなく、古賀にはしたたかな計算があった。
「自分が打者だった場合、平良が投げるとなったら、やはり速い球に合わせるというのが普通の考え方だと思いました。相手には一流の打者がいっぱいいますが、オーソドックスな相手の考え方なら、速い球に合わせてくるだろうと思いました」
実際にソフトバンクの打者には、甘いコースのスライダーに手が出ず見逃すケースもあった。平良のイメージを逆手にとった古賀のリード。試合前に平良自身が意識していた「フライを打たせないピッチング」とはならなかったが、結果的には6回1失点。3試合連続クオリティスタートを達成し、チームの勝利にも繋がっていった。
捕手として、チームを勝利に導いただけでなく、打者としてはこの日、3回に犠打を決め、6回にはヒットを放った。課題の打撃でも結果を見せた古賀だが、捕手としての反省も忘れていない。
「自分の中では、8回の後逸が青山に無駄な失点を与えてしまった。自分があそこで止めていればという思いとかもいろいろあります。ただ、最近自分の中で試合にあまり勝てていなかったですし、失点も多かった中で、今日は打線の援護が大きかったのもありますけど、本当に勝てて良かったなと思います」
2年目ながら捕手として奮闘する古賀を、松井監督はこう表現する。
「古賀も柘植もそうですが、本当にお互い切磋琢磨して、自分のいいところを引き出してきてくれていますからね。古賀にも思いっきりやってもらいたいと思いますし、キャッチャーとして堂々としてもらいたいと思います」
正捕手・森友哉がFAでチームを離れていなければ、見ることができなかった景色を見ている古賀悠斗。柘植世那との正捕手争いの中で、リーグ屈指の投手陣の導き手として、どんな進化を遂げていくのか。
取材・文●岩国誠
【著者プロフィール】
岩国誠(いわくにまこと):1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。
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