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高校野球

ドラフト大注目・佐々木麟太郎の現在地。高校歴代最多「129HR」のスラッガーを球団スカウトはどう評価するのか

西尾典文

2023.05.19

夏の甲子園出場なるか。19日からはいよいよ県大会が始まる。写真:滝川敏之

夏の甲子園出場なるか。19日からはいよいよ県大会が始まる。写真:滝川敏之

 ただその一方で、バッティングについてはこれだけの怪我を抱えながらホームランを量産している。評価する声が聞かれるのも確かで、別球団のスカウトは以下のように話してくれた。

「プロでは長いシーズンで体調が万全な状態でプレーできる試合はそれほど多くありません。佐々木はそういう経験をすでにしているという見方もできますよね。早くからこれだけ注目されているなかで、ペースを落とすことなく結果を残し続けているのは立派だと思います。当然プロでは時間はかかると思いますが、あれだけ飛ばせる選手はそういるものではありません。長打力に関してはやはり今年の候補の中でもトップではないでしょうか」(パ・リーグ球団スカウト)

 高校通算本塁打数はあくまでも参考記録ではあるが、花巻東は対戦校のレベルが高く、そのなかで129本を量産できるというのはやはり並みの選手ではない。

 そしてもうひとつのプラス材料は打撃技術に関しても着実な成長が見られるという点だ。左肘をあげてトップの形を作り、バットを動かしてタイミングをとるメジャーの選手を彷彿とさせるスタイルは基本的には今も変わっていないが、バットの動きには徐々に急な部分がなくなり、長くボールを見られるようになったように感じられる。

 花巻地区予選の花巻南戦では4本のヒットを放ったが、3本目は緩い変化球に身体を残して見事に対応したもので、今までの佐々木にはあまりなかったヒットだった。対応力が上がってきたことで、持ち味のパワーがさらに生きるようになるはずだ。
 
 5月19日には岩手県大会が開幕。勝ち進めば春の東北大会、そして7月からは夏の甲子園出場を目ざす戦いへと突入していく。注目ポイントとしては、やはり数少ない打てるボールを仕留められるかという点だろう。

 最後の夏の大会は負けたら終わりということもあって、相手のマークも厳しくなり、展開によっては敬遠の連続ということも考えられる。そのなかで期待される一発を放つというのは、やはり簡単ではないだろう。しかしプロでは1試合でホームランにできるボールはなかなか来ない。その経験も佐々木にとっては大きな糧となるはずだ。

 これから本格化する公式戦で、多くのファンが期待する特大のアーチを数多く見せてくれると期待したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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