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プロ野球

ドラ1ルーキー矢澤宏太の“二刀流”を野球ライターはどう評価する? 守備、走塁は一流レベルも投打で課題が浮き彫りに【日本ハム】

西尾典文

2023.06.13

 そして既に一軍でもトップクラスの能力と言えるのが外野の守備と走塁だ。大学時代は先発投手での負担も考えて指名打者で出場することも多かったが、プロ入り後はここまで先発出場した試合は全て外野手として起用されており、主に出場することが多いセンター、ライトの両方で安定したプレーを見せている。特にスローイングは速さと正確性を兼ね備えており、5月3日の西武戦で補殺を記録した送球はまさに『レーザービーム』と形容するのに相応しいものだった。投手としても150キロをマークするため当然と言えば当然かもしれないが、スムーズな捕球から送球の流れや落下点に入るスピードも一流の外野手と言えるレベルにある。

 また最終学年で招集された大学日本代表のなかでも50メートル走ではトップの数字をマークするなど脚力も一級品で、プロでも度々そのスピードを活かした走塁を見せている。打率が2割に届かなくても一軍で野手として起用され続けたのは、この守備力とスピードがあったからと言えるだろう。
 
 残念ながら現在は走塁中の怪我で二軍調整となっているが、ここまで一軍で見せたプレーは投手としても野手としても大きな可能性を感じさせるものだった。今後に向けての課題と言えば投手としては前述した球威と制球力の向上、野手としては打撃の確実性アップということになる。

 大谷のように先発ローテーションとして起用されながら中軸を打つというタイプではないように見えるが、このままいけばリードオフマンとしてプレーしながらリリーフやショートスターターとして登板するという形でもチームに与えるプラスは非常に大きくなるはずだ。矢澤の影響もあってか大学球界でも二刀流に挑戦する選手は増えているだけに、投手と野手の両方で一流の選手へと成長してくれることを期待したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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