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MLB

打撃の伸び悩みや相次ぐコンバート...マット・サイスが紆余曲折の末にエンジェルスで見つけた“安住の地”<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.06.20

「最初はあまり乗り気じゃなかった」とサイスは振り返る。「でも、段々と慣れていった」

 サイスは順調にマイナーの階段を上がっていった。プロでのフルシーズン1年目だった17年に2Aまで昇格し、19年にはメジャーデビューを果たした。だが、それ以降の数年はメジャーと3Aと往復する日々が続き、自慢の打撃が本格的に開花することもなかった。19~20年は打率.202に終わり、エンジェルスは二塁、三塁、外野とサイスをたらい回しにしたが、どれも上手くいかなかった。

 その後、三塁は7年契約で加わったアンソニー・レンドーンが入り、一塁ではジャレッド・ウォルシュが台頭した。外野も混雑していたため、球団は人材不足だった捕手にサイスを戻すことにした。

 21年はほぼ3Aで過ごし、捕手というポジションを改めて学んだ。捕手としてメジャー初出場を果たしたのは22年になってからだった。

 ホームプレートの後ろでも及第点の働きを見せているサイスだが、チームへの最大の貢献はやはり打撃だ。シーズン初安打が出た試合から6月16日までの43試合で打率.307、出塁率.403を記録している。
「結果が出なかった打席でも、ボールはよく見えている。自分でもそこを大事にしているんだ」とサイスは言う。「今後もそれを続けていきたい」

 自身も28歳になるまでメジャーに定着できなかったフィル・ネビン監督も、サイスがようやく開花したことを喜んでいる。

「いいスウィングをしているといつも思っていたし、アプローチも良かった。打席内容が安定していなかっただけだったんだ」とネビン監督は言う。「でも、今は違う。誰もが簡単にポジションを与えられるわけではないし、彼もいろいろと苦労してきたけど、不満をこぼすことはなかった。ようやくチャンスを得た人間がメジャーリーグの舞台で成長を遂げるのを見るのは素晴らしい気分だね」

文●ジェフ・フレッチャー

著者プロフィール
『オレンジカウンティ・レジスター』紙でエンジェルスのビートライターを務めるベテラン記者。アスレティックスやジャイアンツでも番記者を務め、全米野球記者協会(BBWAA)の一員として、殿堂入り投票権も持つ。昨年、大谷翔平についての著書『SHOーTIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男』(徳間書店)を発表した。
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