●則本昂大⇔リチャード、高橋礼(ソフトバンク)
田中はソフトバンクには出せないとしても、則本ならばそこまで反発は大きくないだろう。イーグルスにとっては田中に匹敵する功労者であっても、世間的なネームバリューでは及ばないからだ。7年契約の5年目にあたる今季は、防御率2点台の好成績。ただし、奪三振率6.1個はピーク時の約半分で、手放せない投手ではなくなっていると思われる。
交換要員としては、まず楽天に欠けている国産大砲候補として未完の大器リチャード。19~20年に活躍して以降低迷の続くサブマリンの高橋にも、新天地で再起のチャンスを与えたい。
●松井裕樹(28歳)⇔森敬斗(DeNA)
トレード候補の中では目玉中の目玉だ。4年契約の最終年だが、28歳と年齢も若く今季も好調。放出するよりは契約延長の検討対象だが、手放すのであればDeNAが筆頭候補になる。現クローザーの山﨑康晃が防御率4点台と安定感に欠け、エドウィン・エスコバーも不振で左のリリーフが人材不足。抑えとしても、左のセットアップとしても使える松井は、横浜出身でもある。メジャー行きの噂もある中、地元チームというのは残留・再契約を促す際には有利な材料だろう。
ただ、これだけの選手を取るには当然犠牲も伴う。19年のドラフト1位ながら一軍に定着できずにいる森なら、若手の遊撃手が欲しい楽天にとっても納得できる交換要員ではないだろうか。 ●浅村栄斗(33歳)⇔平沢大河、本前郁也(ロッテ)
今季も11本塁打はリーグ2位の主砲だが、年齢的にはそろそろ衰えが見えても不思議ではない。今季は4年20億円の契約1年目。獲得する側からすればすぐに出て行かれる心配はなく、その分交換要員も強気に交渉できる。ロッテはチーム本塁打数37本がリーグ最下位と、長打力不足解消が喫緊の課題。浅村が加われば優勝争いを一歩リードできるし、中村奨吾のいる二塁ではなく一塁で起用すればいい。
交換要員はまず宮城県生まれの平沢。今季も打率.146と伸び悩んではいるが、二軍では例年好成績で、選球眼の良さも確かだ。これだけではさすがに釣り合わないので、先発要員として期待できる本前もプラスすれば楽天にとっても悪くない取引だろう。
●島内宏明(33歳)⇔小木田敦也 or 黒木優太(オリックス)
こちらも4年契約の3年目だが、昨秋の契約更改で「来オフFA権を行使したい」と言い出し、ちょっとした騒ぎになった。その影響ではあるまいが、今季は打率1割台の大不振。それでも過去の実績を考えれば引きはあるはずで、左打ちの外野手に決め手を欠くオリックスなら貴重な戦力になりそうだ。交換要員は、リリーフとしてまずまずの投球をしている小木田、あるいは先発での適性も試されている黒木あたりが候補か。
イーグルスファンにしたら「これだけのスターを出して、この程度の選手しか取れないはずがない」と憤るかもしれない。だがFAを控えていたり、高年俸だったりする選手との交換トレードでは、相手球団もそう易々と好選手は出せないものだ。それでも、数年先まで見据えるなら、こうしたドラスティックなチーム改革も一考に値するだろう。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
田中はソフトバンクには出せないとしても、則本ならばそこまで反発は大きくないだろう。イーグルスにとっては田中に匹敵する功労者であっても、世間的なネームバリューでは及ばないからだ。7年契約の5年目にあたる今季は、防御率2点台の好成績。ただし、奪三振率6.1個はピーク時の約半分で、手放せない投手ではなくなっていると思われる。
交換要員としては、まず楽天に欠けている国産大砲候補として未完の大器リチャード。19~20年に活躍して以降低迷の続くサブマリンの高橋にも、新天地で再起のチャンスを与えたい。
●松井裕樹(28歳)⇔森敬斗(DeNA)
トレード候補の中では目玉中の目玉だ。4年契約の最終年だが、28歳と年齢も若く今季も好調。放出するよりは契約延長の検討対象だが、手放すのであればDeNAが筆頭候補になる。現クローザーの山﨑康晃が防御率4点台と安定感に欠け、エドウィン・エスコバーも不振で左のリリーフが人材不足。抑えとしても、左のセットアップとしても使える松井は、横浜出身でもある。メジャー行きの噂もある中、地元チームというのは残留・再契約を促す際には有利な材料だろう。
ただ、これだけの選手を取るには当然犠牲も伴う。19年のドラフト1位ながら一軍に定着できずにいる森なら、若手の遊撃手が欲しい楽天にとっても納得できる交換要員ではないだろうか。 ●浅村栄斗(33歳)⇔平沢大河、本前郁也(ロッテ)
今季も11本塁打はリーグ2位の主砲だが、年齢的にはそろそろ衰えが見えても不思議ではない。今季は4年20億円の契約1年目。獲得する側からすればすぐに出て行かれる心配はなく、その分交換要員も強気に交渉できる。ロッテはチーム本塁打数37本がリーグ最下位と、長打力不足解消が喫緊の課題。浅村が加われば優勝争いを一歩リードできるし、中村奨吾のいる二塁ではなく一塁で起用すればいい。
交換要員はまず宮城県生まれの平沢。今季も打率.146と伸び悩んではいるが、二軍では例年好成績で、選球眼の良さも確かだ。これだけではさすがに釣り合わないので、先発要員として期待できる本前もプラスすれば楽天にとっても悪くない取引だろう。
●島内宏明(33歳)⇔小木田敦也 or 黒木優太(オリックス)
こちらも4年契約の3年目だが、昨秋の契約更改で「来オフFA権を行使したい」と言い出し、ちょっとした騒ぎになった。その影響ではあるまいが、今季は打率1割台の大不振。それでも過去の実績を考えれば引きはあるはずで、左打ちの外野手に決め手を欠くオリックスなら貴重な戦力になりそうだ。交換要員は、リリーフとしてまずまずの投球をしている小木田、あるいは先発での適性も試されている黒木あたりが候補か。
イーグルスファンにしたら「これだけのスターを出して、この程度の選手しか取れないはずがない」と憤るかもしれない。だがFAを控えていたり、高年俸だったりする選手との交換トレードでは、相手球団もそう易々と好選手は出せないものだ。それでも、数年先まで見据えるなら、こうしたドラスティックなチーム改革も一考に値するだろう。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
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