ところが、開幕前にアクシデントが起きた。WBCに出場し世界一に貢献した源田が怪我を抱えて帰国し開幕は静養させることにした。WBCでは出場を止めることができたが、源田の想いを尊重し、開幕不在を余儀なくされてしまった。
そこに加えて、外野陣の台頭の前に安定的に結果を残せる人材として獲得したペイトンが開幕後に故障。さらに、山川穂高の問題もあって、大きな戦力ダウンを強いられたわけである。
「長谷川はいい能力を持っている。しかし、今季に関しては1年間、ファームの暑い中でプレーして成長してくれればと思っていた。ところが、ペイトンの離脱もあって1軍のレギュラーが固定できなくなって、長谷川を昇格しないといけない状況になってしまった」
いわば、今季の西武は投手力に支えられていたチームからさらなる武器を手にしようとしていたところで、計算外が起きてしまったのだった。シーズン開幕から好調で3、4月の月間MVPを獲得した中村剛也も脇腹を痛めて1ヶ月離脱したし、その代わりに昇格して成長しつつあった渡部健人も下半身の不調で戦線離脱するという事態にもなった。
さらに、頼みの投手陣も、ここへきて勝利を拾えなくなってきている。大崩れするわけではないが、相手が講じてくる戦略に対応しきれずバッテリーが若さを垣間見せている。それが高橋光成や平良海馬、松本航などがいながらも大型連敗が続いている要因といえよう。
とはいえ、シーズンは進んでいる。このまま負け続けていく中で若い世代の台頭を待っていても来季以降にも響くだろう。ここは渡辺GMや松井稼頭央監督の手腕にかかっている。
渡辺GMは「故障者が出たから、それに変わってレギュラーに続く選手を放出するわけにもいかない」とシーズン当初のトレードには否定的だったが、そうも言っていられない。
一方で、松井監督も選手の起用は様々試すものの、定石通りの起用で、かつて渡辺GMが 牧田和久や涌井秀章(中日)を抑えに起用したように、現有戦力の中での配置転換なども考える時期に来ていると言える。
メジャーリーグのレンジャーズをDFAになった筒香嘉智の獲得を狙うべきという声もあるが、ペイトンの復帰も間近で現実的ではない。まずメスを入れるべきは、昨季良かったディフェンス面の安定だろう。特に、森友哉が抜けて、極端に若返った捕手陣は補強を考えるべきだ。
菊池雄星がメジャーに移籍した先発陣は一気に若い顔ぶれに変わったが、菊池や岸孝之(楽天)、過去のエースたちが先輩を見本にしたような循環が今のチームにはない。かといって、数々のエースのボールを受けた炭谷銀仁朗のような捕手もチームにいない。古賀悠斗や柘植世那、古市尊に力がないわけではないが、修羅場を潜った経験がなく、その若さがここにきて表出しているような気がしてならない。
全く出場機会を失っている小林誠司(巨人)や會澤翼(広島)、大野奨太(中日)など、かつて正捕手としてチームを牽引した選手がセ・リーグに埋没している。
投手を安定させて確実に勝利を拾う。その中で打線の奮起を少しずつ期待していく。今の西武ができるとしたら、そうしたチームづくりしかない。
文●氏原英明
【著者プロフィール】 うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『SLUGGER』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設。このほど、パ・リーグ特化のWEBマガジン「PLジャーナル限界突パ」を創刊した。
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そこに加えて、外野陣の台頭の前に安定的に結果を残せる人材として獲得したペイトンが開幕後に故障。さらに、山川穂高の問題もあって、大きな戦力ダウンを強いられたわけである。
「長谷川はいい能力を持っている。しかし、今季に関しては1年間、ファームの暑い中でプレーして成長してくれればと思っていた。ところが、ペイトンの離脱もあって1軍のレギュラーが固定できなくなって、長谷川を昇格しないといけない状況になってしまった」
いわば、今季の西武は投手力に支えられていたチームからさらなる武器を手にしようとしていたところで、計算外が起きてしまったのだった。シーズン開幕から好調で3、4月の月間MVPを獲得した中村剛也も脇腹を痛めて1ヶ月離脱したし、その代わりに昇格して成長しつつあった渡部健人も下半身の不調で戦線離脱するという事態にもなった。
さらに、頼みの投手陣も、ここへきて勝利を拾えなくなってきている。大崩れするわけではないが、相手が講じてくる戦略に対応しきれずバッテリーが若さを垣間見せている。それが高橋光成や平良海馬、松本航などがいながらも大型連敗が続いている要因といえよう。
とはいえ、シーズンは進んでいる。このまま負け続けていく中で若い世代の台頭を待っていても来季以降にも響くだろう。ここは渡辺GMや松井稼頭央監督の手腕にかかっている。
渡辺GMは「故障者が出たから、それに変わってレギュラーに続く選手を放出するわけにもいかない」とシーズン当初のトレードには否定的だったが、そうも言っていられない。
一方で、松井監督も選手の起用は様々試すものの、定石通りの起用で、かつて渡辺GMが 牧田和久や涌井秀章(中日)を抑えに起用したように、現有戦力の中での配置転換なども考える時期に来ていると言える。
メジャーリーグのレンジャーズをDFAになった筒香嘉智の獲得を狙うべきという声もあるが、ペイトンの復帰も間近で現実的ではない。まずメスを入れるべきは、昨季良かったディフェンス面の安定だろう。特に、森友哉が抜けて、極端に若返った捕手陣は補強を考えるべきだ。
菊池雄星がメジャーに移籍した先発陣は一気に若い顔ぶれに変わったが、菊池や岸孝之(楽天)、過去のエースたちが先輩を見本にしたような循環が今のチームにはない。かといって、数々のエースのボールを受けた炭谷銀仁朗のような捕手もチームにいない。古賀悠斗や柘植世那、古市尊に力がないわけではないが、修羅場を潜った経験がなく、その若さがここにきて表出しているような気がしてならない。
全く出場機会を失っている小林誠司(巨人)や會澤翼(広島)、大野奨太(中日)など、かつて正捕手としてチームを牽引した選手がセ・リーグに埋没している。
投手を安定させて確実に勝利を拾う。その中で打線の奮起を少しずつ期待していく。今の西武ができるとしたら、そうしたチームづくりしかない。
文●氏原英明
【著者プロフィール】 うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『SLUGGER』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設。このほど、パ・リーグ特化のWEBマガジン「PLジャーナル限界突パ」を創刊した。
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