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高校野球

ジャイアントキリングならず。王者・広陵に敗れた立正大淞南の次の一歩に期待したい【氏原英明が見た甲子園:6日目】<SLUGGER>

氏原英明

2023.08.12

 しかし、誤算だった。王者はリードされても、まったくと言っていいほど慌てなかった。

 むしろ、慌ててしまったのは立正大淞南の方だった。

 6回裏には先述したように、パスボールから1点を献上。その後も四球と安打を絡めて、広陵は傘にかかって攻めてきた。さらに、大会注目のスラッガー真鍋慧にも適時打を浴びるなど、やられにやられた。

 ミスに乗じて一気に攻勢をかけ、逆転してくるあたりは、さすがは王者・広陵。隙を見せたら王者は見逃してくれない。生き字引のような試合と言えるかもしれない。

「(広陵は)強かったですね。でも、うちとしてはやり切ったという気持ちは強いですかね。前半だけでも競ったゲームができたんで、これは、これまでうちのチームがやってきたことが間違いではなかったと選手たちの自信になったと思う。これを糧にしていきたい」

 太田はそう言って前を向いた。
 
 確かにチームとしてみれば、「いい敗戦」だったかもしれない。
 
 「甲子園での一つのミス」がどれだけ命取りになるか。

 それを得られたことが8年ぶり3度目の出場を果たした立正大淞南にとって意義のある甲子園だったと言えるだろう。

 次世代へのいい手本になる試合だったことは間違いない。後は、それを今後どう生かすかだ。立正大淞南の次の一歩に期待したい。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『SLUGGER』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。

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