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MLB

脆くも崩れ去ったエンジェルスの「大谷引き留め戦略」。モレノ・オーナーが再び球団身売りに動く可能性も?<SLUGGER>

JP・フーンストラ

2023.08.22

 2人の「レンタル」選手獲得のために、エンジェルスは2Aで三振より多い四球数を記録していた捕手と、傘下ではトップクラスの投手の有望株を差し出した。プレーオフ争いから脱落しかけているチームがこのようなトレードを敢行した場合、多くの場合は「サプライズ」と受け止められる。だが、エンジェルスはこれまでも「現在」のために「未来」を犠牲にしてきた。特に今年は大谷引き留めという特別な事情もある。このタイミングで方針を変える理由があるだろうか?

 昨年8月、モレノは球団を売却する意向を明らかにした。だが、目立った進展はなく、モレノは今年1月になって身売りを撤回した。この時、彼は次のような声明を発表した。「このプロセスにおいて、我々にはまだやり残した仕事があることが明らかになりました。我々は将来、このチームのため、そしてファンのためにプラスの影響を与えることができるはずです」

 モレノが言う「やり残した仕事」を実現するためには2つの条件がある、というのが球界の共通認識だ。1つはプレーオフ進出を果たすこと、もう1つは大谷を引き留めることだ。そして今、モレノとエンジェルスはどちらも実現できないという危機に瀕している。一部には、大谷が抜けた方が潜在的な投資家にとっては魅力的ではないかという意見もある。新オーナーが自分の思い通りに使える予算が増えるからだ。
 大谷がこのオフ、他のチームと契約したとしても、モレノにはまだ「やり残した仕事」がある。思い描いていたシナリオではないだろうが、今度こそ本格的に身売りを模索するかもしれない。

 いずれにしても、このオフシーズンはエンジェルスにとって極めて重要なターニングポイントとなるだろう。大谷が去り、ポストシーズンへの明確な道筋も見えず、そして20年間にわたって君臨してきたオーナーもいない事態に直面するかもしれないのだ。

文●JP・フーンストラ

著者プロフィール:サザン・カリフォルニア・ニュースグループに所属し、『オレンジカウンティ・レジスター』紙などに寄稿。全米野球記者協会所属。著書に『50 Greatest Dodger Games of All Time』。ツイッターアカウント:@jphoonstra。


 
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