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プロ野球

真の逸材を多く指名できた球団はどこ? 「ドラフト候補ランキング」で振り返る2023年ドラフト<SLUGGER>

西尾典文

2023.10.29

■阪神:B+
●ドラフト候補ランキング入りしていた選手
1位:下村海翔(ランキング7位/青山学院大)
2位:椎葉剛(ランキング32位/徳島インディゴソックス)
4位:百崎蒼生(ランキング34位/東海大熊本星翔高)
5位:石黒佑弥(ランキング31位/JR西日本)

 1位で下村を一本釣り。スピードほどの球威を感じないため凄みには欠けるが、コントロールは抜群で変化球も多彩なのが強みで、競合なしでこのレベルの投手を指名できたのは大きかった。2位で指名した椎葉は逆に少しコントロールに不安は残るものの、ボールの力だけなら今年の候補でも一、二を争うレベルの選手だ。大学4年生と同じ年齢で、まだ若いのもプラス要因。4位の百崎も高校生では上位のショートで、5位の石黒も今年では数少ない社会人の有力投手と、下位でも将来性と力のある選手を確実に獲得した。1位では目玉と言われた選手の競合を避けながらも、上手く2位以降でも好素材を獲得しており、近年のドラフト巧者ぶりを感じさせる指名だった。

■DeNA:B
●ドラフト候補ランキング入りしていた選手
1位:度会隆輝(ランキング5位/ENEOS)
2位:松本凌人(ランキング27位/名城大)
3位:武田陸玖(ランキング16位/山形中央高)

 1位で野手の目玉となった度会を3球団の強豪の末に引き当てた。社会人では主に外野を守っていたが、元々は内野手でありセカンドやサードでの起用も十分に考えられる。打撃に関しては天才的なものがあり、数年後には牧秀悟とともに不動のクリーンアップとなることも期待できるだろう。2位の松本は最終学年で調子を落として少し評価を下げたが、3年時の投球ができていたら1位の可能性もあった本格派サイドスロー。球威が戻ればリリーフで即戦力となる可能性も高い。3位の武田は二刀流で勝負するのかにも注目が集まるが、打撃に関しては今年の高校生の中でもトップクラスであり、度会とともに中心打者になる可能性も秘めている。投手は少し不安が残ったが、野手に関してはかなり充実した指名だったという印象だ。
 
■楽天:B
●ドラフト候補ランキング入りしていた選手
1位:古謝樹(ランキング13位/桐蔭横浜大)
2位:坂井陽翔(ランキング26位/滝川二高)
3位:日当直喜(ランキング44位/東海大菅生高)

 常広と前田を抽選で外し、大学生左腕の古謝を獲得。まだ好不調の波はあるものの、良い時のピッチングは1位指名にふさわしいだけの実力がある。昨年1位で獲得した荘司康誠とともに、長くチームのローテーションを支える存在となることを期待したい。2位の坂井、3位の日当も高校球界ではトップクラスの将来性を誇る大型右腕。前者はセンス、後者は馬力と特長は異なるものの、ともに角度のあるボールが持ち味で、変化球のレベルも高い。投手の指名に関しては、かなり高く評価できるものだった。一方で気になったのは4位以下の指名だ。6位の中島大輔はある程度計算できそうな外野手だが、それ以外の4人は将来性に関しては面白いものの、未完の部分が目立つ。昨年も投手中心だっただけに、野手にももう少し目を向けても良かったのではないだろうか。


■中日:B-
●ドラフト候補ランキング入りしていた選手
1位:草加勝(ランキング23位/亜細亜大)
2位:津田啓史(ランキング50位/三菱重工East)
3位:辻本倫太郎(ランキング28位/仙台大)
4位:福田幸之介(ランキング45位/履正社高)

 ランクインしたのは4人と少なくないものの、ベスト10は1人もなし。高い評価の選手を獲得できなかったことからB評価とした。草加は投球術が持ち味の右腕。ボールだけでなくフォームでも緩急をつけることができ、制球力も高い。ただ、少し小手先に頼る部分があり、ボール自体のレベルアップが課題になりそうだ。津田は攻守ともに派手さはないが、高校から社会人入りして早くからポジションをつかんだ実戦力が武器。一方の辻本は少し攻守に軽率な部分はあるものの、パンチ力とプレーのスピードは抜群だ。4位の福田は最終学年で一気に評価を上げた本格派左腕。低迷するチームを大きく変えるようなスター性のある選手の獲得はなかったが、投手も野手も底上げには成功したと言えそうだ。
 
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