■西武:B-
●ドラフト候補ランキング入りしていた選手
1位:武内夏暉(ランキング3位/国学院大)
2位:上田大河(ランキング12位/大商大)
1位で3球団が競合した武内を見事に引き当てた。185cmの大型左腕だが良い意味でまとまりがあり、コーナーに投げ分ける制球力は見事。ストレートの力も年々アップしており、まだ成長も見込める。2位の上田も3年から大学日本代表に選ばれた実力派右腕。4年時は少しストレートの力が物足りなかったが、変化球のレベルも高く、最後のシーズンでもノーヒットノーランを達成している。大学球界を代表する左右の投手を獲得できたことで、投手の指名はほぼ狙い通りだったと言える。ただ少し気になったのは3位以下だ。50位以内にランクインした選手はいなかった上に、野手は6位で指名した村田怜音(皇學館大)のみ。昨年のドラフトでは上位3人を野手で占めたが、それでもなお少し不安が残った。武内、上田の指名は大きなプラスだが、これらの点を鑑みてB-評価とした。
■ヤクルト:C+
●ドラフト候補ランキング入りしていた選手
1位:西舘昂汰(ランキング18位/専修大)
2位:松本健吾(ランキング25位/トヨタ自動車)
4位:鈴木叶(ランキング42位/常葉大菊川高)
1位では武内を外して西舘を指名。完成度は少し劣るものの、スケールの大きさに関しては大学生の中でも上位で、将来のエース候補として期待される。3年秋以降はフル回転で投げており、それでも疲れが目立たなかったタフさは故障者の多いヤクルト投手陣にとってもありがたい存在となりそうだ。2位の松本は逆に安定感が光るタイプ。今年は肩の不調で出遅れたものの、徐々に調子を上げて都市対抗でもチームの優勝に貢献した。プロでは個性が埋没するリスクもあるが、戦力になる可能性は高い。鈴木は高校球界を代表する捕手。シュート回転する球筋は気になるものの、攻守にセンスの高さが光る。全体的に悪くない指名だが、最初の抽選を外したことと投手優先にならざるを得ないチーム事情もあって、まずまずという評価にとどまった。
■ロッテ:C
●ドラフト候補ランキング入りしていた選手
1位:上田希由翔(ランキング8位/明治大)
3位:木村優人(ランキング17位/霞ヶ浦高)
度会→草加→細野と3度抽選を外して、最終的には上田を1位指名。今年の野手では度会に次ぐ存在であり、打撃の安定感に関しては太鼓判が押せる。打球が高く上がるタイプではないがパワーは申し分なく、外野が狭くなったZOZOマリンスタジアムではシーズン20本塁以上も十分に期待できるだろう。3位の木村は高校球界を代表する右腕。まだ体は細く、少し時間はかかりそうだが、ストレートだけでなく変化球も一級品で、将来のエース候補として期待できる。それ以外も面白い選手を指名しているが、5位の寺地隆成以外は全体的に少し順位が高かった印象は否めない。2位で指名した大谷龍輝の出来が今後の大きなカギを握ることになりそうだ。
■巨人:D
●ドラフト候補ランキング入りしていた選手
1位:西舘勇陽(ランキング4位/中央大)
1位で日本ハムとの競合の末に西舘勇陽を獲得。以前はスピードはあっても捉えられることが多かったが、今年の秋は変化球のコントロールが劇的に良くなり、圧倒的な成績を残した。リリーフの適性も高く、1年目から一軍の戦力となる可能性も高い。ただ、2位から5位までは社会人を揃え、4人ともランク外の選手ということで、今回の評価基準では12球団でも最下位となった。2位の森田駿哉(Honda鈴鹿)をはじめ力のある選手たちだが、全員が来年で25歳以上となることを考えると、やはり将来性の観点からは高く評価しづらい。来年の戦力を補うためにピンポイントでこの年齢層の社会人を狙うことはあっても、ここまで極端なのはなかなかないことだ。全員が1年目からが勝負で、もし通用しなければ早期に戦力外になるリスクも高く、かなり冒険的な指名だったという印象だ。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
【2023ドラフト候補ランキング最終版|1~10位】東洋大・細野、青山学院大・常広、国学院大・武内...1位は果たして<SLUGGER>
【2023ドラフト候補ランキング最終版|11~20位】大学球界No.1捕手の上武大・進藤、桐蔭横浜大・古謝などドラ1候補が続々登場<SLUGGER>
【2023ドラフト候補ランキング最終版|31~40位】独立リーグに現れた豪腕に加え、明大が誇る不動のエース・村田もランクイン<SLUGGER>
●ドラフト候補ランキング入りしていた選手
1位:武内夏暉(ランキング3位/国学院大)
2位:上田大河(ランキング12位/大商大)
1位で3球団が競合した武内を見事に引き当てた。185cmの大型左腕だが良い意味でまとまりがあり、コーナーに投げ分ける制球力は見事。ストレートの力も年々アップしており、まだ成長も見込める。2位の上田も3年から大学日本代表に選ばれた実力派右腕。4年時は少しストレートの力が物足りなかったが、変化球のレベルも高く、最後のシーズンでもノーヒットノーランを達成している。大学球界を代表する左右の投手を獲得できたことで、投手の指名はほぼ狙い通りだったと言える。ただ少し気になったのは3位以下だ。50位以内にランクインした選手はいなかった上に、野手は6位で指名した村田怜音(皇學館大)のみ。昨年のドラフトでは上位3人を野手で占めたが、それでもなお少し不安が残った。武内、上田の指名は大きなプラスだが、これらの点を鑑みてB-評価とした。
■ヤクルト:C+
●ドラフト候補ランキング入りしていた選手
1位:西舘昂汰(ランキング18位/専修大)
2位:松本健吾(ランキング25位/トヨタ自動車)
4位:鈴木叶(ランキング42位/常葉大菊川高)
1位では武内を外して西舘を指名。完成度は少し劣るものの、スケールの大きさに関しては大学生の中でも上位で、将来のエース候補として期待される。3年秋以降はフル回転で投げており、それでも疲れが目立たなかったタフさは故障者の多いヤクルト投手陣にとってもありがたい存在となりそうだ。2位の松本は逆に安定感が光るタイプ。今年は肩の不調で出遅れたものの、徐々に調子を上げて都市対抗でもチームの優勝に貢献した。プロでは個性が埋没するリスクもあるが、戦力になる可能性は高い。鈴木は高校球界を代表する捕手。シュート回転する球筋は気になるものの、攻守にセンスの高さが光る。全体的に悪くない指名だが、最初の抽選を外したことと投手優先にならざるを得ないチーム事情もあって、まずまずという評価にとどまった。
■ロッテ:C
●ドラフト候補ランキング入りしていた選手
1位:上田希由翔(ランキング8位/明治大)
3位:木村優人(ランキング17位/霞ヶ浦高)
度会→草加→細野と3度抽選を外して、最終的には上田を1位指名。今年の野手では度会に次ぐ存在であり、打撃の安定感に関しては太鼓判が押せる。打球が高く上がるタイプではないがパワーは申し分なく、外野が狭くなったZOZOマリンスタジアムではシーズン20本塁以上も十分に期待できるだろう。3位の木村は高校球界を代表する右腕。まだ体は細く、少し時間はかかりそうだが、ストレートだけでなく変化球も一級品で、将来のエース候補として期待できる。それ以外も面白い選手を指名しているが、5位の寺地隆成以外は全体的に少し順位が高かった印象は否めない。2位で指名した大谷龍輝の出来が今後の大きなカギを握ることになりそうだ。
■巨人:D
●ドラフト候補ランキング入りしていた選手
1位:西舘勇陽(ランキング4位/中央大)
1位で日本ハムとの競合の末に西舘勇陽を獲得。以前はスピードはあっても捉えられることが多かったが、今年の秋は変化球のコントロールが劇的に良くなり、圧倒的な成績を残した。リリーフの適性も高く、1年目から一軍の戦力となる可能性も高い。ただ、2位から5位までは社会人を揃え、4人ともランク外の選手ということで、今回の評価基準では12球団でも最下位となった。2位の森田駿哉(Honda鈴鹿)をはじめ力のある選手たちだが、全員が来年で25歳以上となることを考えると、やはり将来性の観点からは高く評価しづらい。来年の戦力を補うためにピンポイントでこの年齢層の社会人を狙うことはあっても、ここまで極端なのはなかなかないことだ。全員が1年目からが勝負で、もし通用しなければ早期に戦力外になるリスクも高く、かなり冒険的な指名だったという印象だ。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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