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プロ野球

「どっちもどっち。ジャッジは関係ない」――“誤審”への批判が独り歩きするのは百害あって一利なし<SLUGGER>

氏原英明

2023.10.31

 特にストライク、ボールの判定に一喜一憂することは、審判へのメンタルへの影響は計り知れない。彼らのストライクゾーンへの信念を外的要因によって崩してしまうことは、それはそれで良くない。

 以前の国際大会で、韓国のメディアから取材を受けたことがあった。韓国の試合において日本人審判のジャッジに不満があり、「日韓関係」を持ち出してきたのだ。

 日本人が韓国人を嫌い、そういうジャッジをするのではないか。今後も、そういうことがあっては困ると心配している。日本人ジャーナリスとしての意見を聞かせて欲しいというものだった。

 僕はその時、「スポーツはあなた方が思うよりクリーンなものだ」という趣旨のことを答えた。そういう目でスポーツを見ることが、スポーツ本来の素晴らしさを損なうものだということを伝えたかったからである。

 日本シリーズは2試合を終わり、予想だにしない展開を見せてくれている。

 投手が懸命に投げ、打者が喰らい付いていく。
 
 白熱したシリーズ、選手たちのパフォーマンスにはただワクワクするばかりだ。

 日本シリーズ第2戦での宮城のピッチングは圧巻そのもので、あのピッチングを見ただけでも、この試合に立ち会えたことの幸せを感じるものだった。

 その中で選手が思ってもいない「ミスジャッジ」を話題にしてしまうのは、いかにスポーツの素晴らしさを損なう方向へと導くかと言うのを理解しなければいけない。

 もちろん、ジャッジに一切、不平不満を言ってはいけないという話をしているわけではない。

 試合は誰か1人でするものではなく、仲間がいて、対戦相手がいて、気持ちよく試合をするためにコントロールしてくれる審判がいて、盛り上がる観客がいて成立する。

 互いをリスペクトするところにスポーツの魅力はある。

 そう思うのは間違いなのだろうか。

文●氏原英明

【著者プロフィール】うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『SLUGGER』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設。このほど、パ・リーグ特化のWEBマガジン「PLジャーナル限界突パ」を創刊した。

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