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プロ野球

第1回は細川、大竹がブレイクを果たすも6人が戦力外...FA補償と同じプロテクト方式で現役ドラフトのさらなる活性化を図るべき<SLUGGER>

出野哲也

2023.12.09

  このルール5ドラフトは、必ず誰かしらを指名しなければならない、といった制約もない。ただし、獲得した選手はメジャーの試合に出場可能な26人ロースターに登録する義務がある。強制的に一軍メンバー入りさせることで、取ったはいいが結局飼い殺しになる――といった事態を防げるわけだ。そこに加わるだけの実力がないと判断されれば、元の所属球団への返還もできる。

 もっとも、この方式をそのまま日本で実施するのは難しいだろう。もし現役ドラフトで加入した選手が戦力として機能せず一軍に居座り続けたら、その選手のせいで一軍からあぶれた者は面白くないし、ファンからの風当たりも相当強くなる。だからと言って元の球団に返そうとしても、すでにその選手抜きで戦力を構成しているのだから、今さら戻ってこられても居場所がないかもしれない。

 この「返還可能ルール」は、選手の移動が日常茶飯事であるアメリカ球界だからこそ抵抗なく受け止められている面があるのだ。もっとも、1年間ずっとは無理でも、30日間など一定期間の一軍登録を義務付けるやり方なら日本でも可能かもしれない。
 
 
  現時点で考えられる最善の策は、すでに述べた通り一定の条件を満たす選手を全員指名可能とするか、もしくはプロテクトリストを作り、ウェーバー順で選択していく方式への変更だろう。その場合、現状では「プロテクト逃れ」に利用されている育成選手も指名可とするべきだ。現行のやり方を継続するのであれば、指名したい選手が残っていなければ権利を放棄できるようにする。これだけでも、誰も望まない不幸な移籍は回避できる。

 埋もれた選手に新天地でチャンスを与えるという現役ドラフトの理念自体は素晴らしい。少しずつでも改善の方向に向かっていってほしい。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。

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