不調と言われていたときでも「僕からしたら、もともと対応できていた」と復活を信じ続けていた村田コーチ。ただ「感覚的にバットの何かしらをうまく使えているようになったって言ってましたよ」と独特の感性には苦笑いする。
  「それも天才的な考え方なんですよ。あんなバッティング、普通しないですもん。ゴルフのシャフトならしなるけど、バットはしならないからね」と小学生時から貫き通すフォームを元にした、信念にも似たメカニズムは思わずコーチも舌を巻く。

　また派手なホームランに猛打賞とヒーローになっても「２軍の方でたくさんの方々に練習など手伝っていただき、そして自分の調整も時間に合わせて練習を手伝っていただいたんで、本当に感謝の気持ちでいっぱいですし、本当にこういう結果になって少しでも恩返しできてよかったと思います」とまずは周囲に感謝する姿、フォア・ザ・チームの姿勢は常に不変だ。

　オリジナルの打撃理論を礎に、10年にわたりベイスターズ打線のコアとして君臨し続けた稀代の天才ヒットメーカー宮﨑敏郎。代えの効かない絶対的中心プレーヤーは、これからも自らをアップデートし、愛する横浜を頂点に導く。　

取材・文●萩原孝弘
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