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MLB

21年のストライキは避けられない?…「歓喜なき開幕」を招いたMLB選手会とオーナー側の遺恨の歴史

出野哲也

2020.06.26

 さらに別の日、セントルイス・カーディナルスのオーナーが「野球はあまり儲かるビジネスではない」と発言した直後に、MLBが新たなテレビ放映権契約を結ぶことが判明。これにより、日本円にして200億円以上もの大金が毎年、転がり込むことになる。もちろん選手会にも非はあるが、どちらが「カネ」にしがみついているかは明らかだろう。

 いずれにせよ、MLBは千載一遇のチャンスを逸してしまった。新型コロナウイルスによる死者は10万人以上に達して失業率も急上昇、人種対立による暴動が勃発している。そのような状況で、NBAやNFLよりも先に試合を開催することは、目先の経済的利益には換算できないメリットがあったはずだった。
 
 MLBは今回のゴタゴタで深刻なイメージダウンを被っただけでなく、選手会とオーナー側の関係は最悪の状態になってしまった。来季終了後には労使協定の更新時期を迎えるが、それまでに状況が劇的に変化しない限り、ストライキ/ロックアウトに突入する確率は相当高い。25年近くにわたって続いた平和は、もはや風前の灯となっている。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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