■佐々木はロッテで良かったのか？

　最後に、今年のドラフトで最大の目玉選手だった佐々木についても触れておきたい。過去に大物投手を獲得した経験が少ないことから、ロッテへの入団を不安視する声も一部で聞こえてくるが、チーム事情を考えると、実は佐々木にとってもチームにとっても非常に良い指名だったと考えられる。

　ロッテでは今、種市篤暉、二木康太、岩下大輝といった高校卒の大型右腕が成長を見せており、野手も含めて今後が楽しみな若手が多い。そこに佐々木が加わることで、一気に世代交代が加速する可能性が高い。また球界屈指の理論派で、日本ハムでは大谷翔平も指導した経験を持つ吉井理人コーチの存在も佐々木にとっては大きなプラスである。投手陣は佐々木、野手陣は安田尚憲と藤原恭大が中心となった時のロッテが今から楽しみでならない。 文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる。ドラフト、アマチュア野球情報サイト「PABBlab」を今年８月にリリースして多くの選手やデータを発信している。