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高校野球

大谷翔平の高校時代の“評価”を振り返る。投手としての完成度は藤浪が上、打撃も巧いが力はなし<SLUGGER>

西尾典文

2021.08.10

 当時の大谷の書いた目標の中心には、『ドラ1、8球団』となっているが、そのために必要な8項目は「体つくり」「コントロール」「キレ」「メンタル」「スピード160km/h」「人間性」「運」「変化球」となっており、基本的にピッチングに関する項目で埋められている。プロのスカウトの中には打者として評価する声も多かったが、本人の志向はやはり投手だったことは間違いなさそうだ。

 そんな大谷に対して、高校からのメジャー行きを止めるという目的があったとはいえ、二刀流というプランを提示して、実際に実現させた日本ハム首脳陣の決断は見事と言う他ない。
 
 そして、大谷の成功は野球界全体にも変化をもたらしている。現在、日本体育大の3年生である矢澤宏太は投手としても140キロ台後半のスピードを誇り、野手としても中軸でホームランを量産する活躍を見せている。指名打者のある主要な大学リーグで投手と野手の両方で活躍した例は近年ほとんどなく、大谷の活躍がこの後押しとなったことは間違いないだろう。

 大谷ほどの高い次元で二刀流を両立する選手が続々と出てくるとは考えづらいが、可能性が広がったことは確かである。今後も大谷の活躍を見たジュニア世代の選手が、投打両面で活躍する姿を見せてくれることを期待したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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