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プロ野球

氏原英明のドラフト採点:森木獲得の阪神、達を指名した日本ハムが最高評価。一方、目玉の小園を引き当てたDeNAは意外にも?<SLUGGER>

氏原英明

2021.10.12

C評価 ソフトバンク
 1位で高校生最速右腕の風間球打(ノースアジア大明桜高)の一本釣りに成功。ドラフト前の公言がプラスに働いた形だ。強いボールを評価するチームスタイルに合致し、双方にメリットの大きい指名と言えるだろう。2位でスラッガー候補の正木智也(慶応大)、3位で消えるスライダーが武器の木村大成(北海高)を獲得できたことも大きい。ユーティリティ性の高い内野手の野村勇(NTT西日本)、奪三振率の高い大竹風雅(東北福祉大)を指名するなど、全体のバランスも良かった。チームの戦力が厚いだけに、そこに枚数を増やすことを目指した形だが、やや迫力不足な印象が否めず、評価が下がった。

C評価 巨人
 1位入札で隅田知一郎(西日本工業大)を外してつまずいた。ただ、外れ1位で大学生では今ドラフト最速に近いストレートを投げる翁田大勢(関西国際大)、2位で高卒社会人の山田龍聖(JR東日本)、3位では安定感が魅力の赤星優志(日大)と実力派の投手を指名できたのはプラスポイント。4位以降で石田隼都(東海大相模高)、代々大和(明徳義塾高)、花田侑樹(広島新庄高)と有名高校生を獲得できたのも悪くない。しかし、先発投手に次ぐ課題だったはずの中継ぎ左腕や強打の右打者は解決できず。それらが検討されているように見えなかったのは、チーム状況を的確に把握しているとは言い難いのではないか。
 
C評価 DeNA
 1位指名で小園を引き当てる素晴らしい滑り出し。監督の三浦大輔と同じ市立高校出身とあって、未来の右のエースとして一安心ができる指名だった。しかし、強化したいブルペンは高校・大学での疲労感が見える徳山壮磨(早稲田大)、三浦銀二(法政大)と心許ない。3位指名の粟飯原龍之介(東京学館高)は将来が楽しみな大型のショートストップだが、今年ルーキーとして活躍した牧秀悟、一軍を経験した森敬斗などとどう組み合わせるのかは見えないところがある。

D評価 オリックス
 過去2年の高校生重視路線から一転して、以前のオリックスに戻った形だ。優勝を狙えるところまで躍進したことで、目に見える弱点を補強したと言える。その考えは間違いではない。1位の椋木蓮(東北福祉大)は一本釣りを狙っての指名で、先発でも抑えでも活躍が期待できる。3位の福永奨(国学院大)は捕手強化につながるだろう。しかし、向こう数年、内野に空きがないことを思えば、大学生野手の獲得は微妙な判断だ。最も欲しかったはずの吉田正尚クラスの大砲やサウスポーの指名がなかったことからも、やや低評価となった。ただブルペンを埋められたのは間違いなく、来季へ向けての戦力強化にはなったはずだ。

D評価 中日
 オリックスと同様、D評価と言っても決して悪いわけではない。今季の課題だった打力不足をに対する補強へ強い意識があったことが窺える指名だった。1位でブライト健太(上武大)、2位で鵜飼航丞(駒沢大)6位で福元悠真(大商大)と右の大学生外野手を3人も獲得したが、今年の成績を意識しすぎた印象も否めず、将来性の高い高校生投手を一人くらいは獲得しても良かったかもしれない。もっとも、3位で石森大誠(火の国サラマンダーズ)、5位では課題だった二遊間を埋める星野真生(豊橋中央高)を指名したのは評価できる。

文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。
 

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