4:衰えが明らかな大島だが……。まさかの“あの選手”も得票
セ・リーグ外野部門も、なかなか驚きの結果となった。強肩の鈴木誠也(広島)、広い守備範囲を守る近本光司(阪神)は納得だったが、4年連続9回目の受賞となった大島洋平(中日)はさすがに今年は厳しいと思った方も多いのではないか。
11月に36歳を迎えた大島は、さすがに守備範囲が狭まっている印象があり、肩の弱さも気がかりな状況が続いている。実際、UZRは4年連続でマイナスに沈んでおり、今季はセ・リーグのセンターでワーストだったが、“信頼感”ゆえか無事に連続受賞を決めた格好だ。
もっとも、賞レースに影響はなかったとはいえ大島以上に違和感を覚えたのが、佐野恵太(DeNA/4票)やサンズ、佐藤輝明(ともに阪神/1票)らへの投票だ。確かに彼らは打撃で目立つ活躍を見せた。しかし、こと守備に関してはお世辞にも名手とは言えないはず。それでもなお、彼らが「守備のベストナイン」にふさわしいと考える人がいたわけで、ぜひともその理由を聞いてみたいものである。
ゴールデン・グラブをはじめとしたNPBのアウォード投票は、「どの記者が」「誰に」投票したのかは公開されていない。それゆえ、明らかにおかしい得票となった選手がファンに批判される形になりかねないのだ。最近は自ら誰に投票したのかを明かす記者も出てきているが、メジャーリーグでは発表と同時に記者の投票内容がすべて公開されていることを鑑みれば、雲泥の差がある。
では、メジャーの投票者たちが“完璧”な投票をしているかと言われれば、もちろんそんなことはない。それでも、「なぜ●●を△△より上の順位にしたのか?」とSNSなどで質問されれば、ほぼすべての記者が投票理由を説明する。
それに納得できるかどうかは別として、そこに議論の場が生まれる。アウォード投票を通して、ファンたちも見識を深めていくことが、野球文化の醸成につながっていくのだ。
しかし、日本ではこれができない。繰り返しになるが、誰が、どんな理由で、どの選手に投票したのかが分からないからだ。ここまでデータ、特にUZRを使った話も多く出てきた。中には「UZRなんか信用ならん!」という声もあるだろう。もちろん、UZRだけを基準に決めることが正しいとも思えない。
同時に、どんな人間でも全球団の全試合、全プレーを見ることなどできない。データは、そうした面を補完すると同時に、誰もが持つ主観や先入観も補正してくれる。投票者には、「自分の目」という主観的な視点と、データなどの「客観的」な視点でうまくバランスを取ることが求められる。
数字ではない“何か”を評価した、でもいい。もしそうなら、その“何か”をファンにも伝えてほしい。それが学びにもつながるはずだ。だが、日本球界の現状では、その機会がないことが悲しい。
文●新井裕貴(SLUGGER編集部)
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もっとも、賞レースに影響はなかったとはいえ大島以上に違和感を覚えたのが、佐野恵太(DeNA/4票)やサンズ、佐藤輝明(ともに阪神/1票)らへの投票だ。確かに彼らは打撃で目立つ活躍を見せた。しかし、こと守備に関してはお世辞にも名手とは言えないはず。それでもなお、彼らが「守備のベストナイン」にふさわしいと考える人がいたわけで、ぜひともその理由を聞いてみたいものである。
ゴールデン・グラブをはじめとしたNPBのアウォード投票は、「どの記者が」「誰に」投票したのかは公開されていない。それゆえ、明らかにおかしい得票となった選手がファンに批判される形になりかねないのだ。最近は自ら誰に投票したのかを明かす記者も出てきているが、メジャーリーグでは発表と同時に記者の投票内容がすべて公開されていることを鑑みれば、雲泥の差がある。
では、メジャーの投票者たちが“完璧”な投票をしているかと言われれば、もちろんそんなことはない。それでも、「なぜ●●を△△より上の順位にしたのか?」とSNSなどで質問されれば、ほぼすべての記者が投票理由を説明する。
それに納得できるかどうかは別として、そこに議論の場が生まれる。アウォード投票を通して、ファンたちも見識を深めていくことが、野球文化の醸成につながっていくのだ。
しかし、日本ではこれができない。繰り返しになるが、誰が、どんな理由で、どの選手に投票したのかが分からないからだ。ここまでデータ、特にUZRを使った話も多く出てきた。中には「UZRなんか信用ならん!」という声もあるだろう。もちろん、UZRだけを基準に決めることが正しいとも思えない。
同時に、どんな人間でも全球団の全試合、全プレーを見ることなどできない。データは、そうした面を補完すると同時に、誰もが持つ主観や先入観も補正してくれる。投票者には、「自分の目」という主観的な視点と、データなどの「客観的」な視点でうまくバランスを取ることが求められる。
数字ではない“何か”を評価した、でもいい。もしそうなら、その“何か”をファンにも伝えてほしい。それが学びにもつながるはずだ。だが、日本球界の現状では、その機会がないことが悲しい。
文●新井裕貴(SLUGGER編集部)
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