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高校野球

【神宮大会】高校の部でなぜエラーが続発したのか。中京大中京の圧倒的強さと打撃偏重への警鐘

田尻賢誉

2019.11.24

 新チーム結成から間もない秋の大会は時間がなく、走攻守ともに未完成。ゆえにミスが出るのは当然だ。だからこそ、守備を鍛えるべきだし、ミスを誘いやすいバントや走塁を使った攻撃を仕掛けるべき。だが、今大会を観る限り、チームづくりの順番、優先順位が違うような気がする。多くのチームが、打撃偏重になっているのだ。

 トレーニングで身体をつくり、バットを振り込む時間は冬にたっぷりある。夏の大会は打てなければ勝てないため、春から夏にかけ、必然的に打撃練習に割く時間は増える。また、オフのトレーニングと春の実戦を経て急速に成長する投手がライバルチームに出てくるため、夏が近づくにつれ、どの監督も点を取ることに意識が向きがちになる。

 そうなると、守備や小技、走塁練習はおろそかになってしまう。だからこそ、新チーム結成直後の夏休みから秋にかけ、守備やバント、走塁を鍛えておくべきだろう。打撃よりも先に自ら崩れない守備力を身につけ、打てない時に点を取る方法を練習しておけば、シーズンが始まる春からは攻撃力アップに集中できる。
 
 盗塁ゼロで夏の甲子園優勝を果たした履正社が象徴するように、近年の高校野球は打撃偏重。だからといって、打つことばかりに集中するのはどうか。余計な失点をしない守備、打てないときに点を取るためのバントや走塁。アウトカウントを間違えるなどボーンヘッドで自滅しないための準備・確認。チームをつくるにあたって、まずやるべきことはそちらの部分。基礎、土台を固めることが大事だろう。

 第一は、自ら負ける確率を減らすことから。今大会の敗戦チームの負け方を観て、チームづくりの優先順位を見直すきっかけにしてもらいたい。

文●田尻賢誉(高校野球ジャーナリスト)

【著者プロフィール】
たじり・まさたか 高校野球ジャーナリスト。高校野球に関する著作は30冊を超える。近著に『智弁和歌山・高嶋仁のセオリー』(ベースボール・マガジン社)、『高校野球脳を鍛える実戦プレー問題集』、『なぜあと1アウトから逆転されるのか』(ともに竹書房)中学、高校球児や指導者、球児の親への講演活動も行っている。

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