▼ソフトバンク
評価：Ｃ－

　１位のイヒネ・イツア（誉高）は高い身体能力に大きなスケールを宿し、将来どんな選手になるか今から楽しみだ。ただし、ともに打撃が強みの甲斐生海（東北福祉大／３位）はファースト専門、吉田賢吾（桐蔭横浜大／６位）は守備に課題を残すなど、起用の幅が限られる。また投手は、即戦力狙いと思われる大津亮介（日本製鉄鹿島／２位）は身体の線が細く、松本晴（亜細亜大／５位）は手術から復帰して１年ほどと、プロでやっていくには時間が必要だ。素材型の大野稼頭央（大島高／４位）を含めて、即戦力性の薄さに疑問が残る結果となった。

▼DeNA
評価：Ｂ

　１位の事前公表はあえてせず、その上で松尾汐恩（大阪桐蔭高）の一本釣りに成功。高い身体能力、大舞台での勝負強さ、チームをまとめるキャプテンシーは、将来のスター候補として申し分ない。ただし、林琢真（駒沢大）の指名に疑問が残る。守備位置が牧秀悟と被るからだ。一方で投手は、吉野光樹（トヨタ自動車／２位）、森下瑠大（京都国際高／４位）、橋本達弥（慶応大／５位）とバランス良く指名しただけに、林の育成方針によって今後は評価が変わってくるだろう。
  ▼オリックス
評価：Ａ

　投手は、公言通り曽谷龍平（白鴎大）を１位指名。左腕としては破格のスピードボールが魅力で、先発・リリーフどちらでも想定できる。また、齋藤響介（森岡中央高／３位）、日高暖己（富島高／５位）と、いずれもストレートに強みがある素材型を指名。同じタイプの投手を多く成功させたオリックスの自信がうかがえる。また、野手では内藤鵬（日本航空石川高）の２位指名に成功。世代No.1スラッガーの呼び声も高く、次世代に不足する長距離砲を確保した。杉澤龍（東北福祉大／４位）は高い外野守備力にパワーも併せ持つなど、将来と即戦力性のバランスの良い結果となった。

▼ヤクルト
評価：Ｂ－

　投手は、公言通り吉村貢司郎（東芝）を１位指名。球速、球威、コントロール、スタミナどれも一級品で“真の即戦力投手”と呼べる存在だ。先発投手で苦労したチームの弱点を埋められるだろう。ただし、その他は素材型の坂本拓己（知内高／４位）のみと心許ない結果に。また野手は、西村瑠伊斗（ 京都外大西高／２位）、澤井廉（中京大／４位）、北村恵吾（中央大／５位）と、打撃型を揃えた。安定感が課題の打者ばかりだが、捉えた時の飛距離は凄まじく、この３選手が二軍ですぐに主軸を打っても不思議ではない。ファームに大きな刺激を与えることだろう。

文●ARA

【著者プロフィール】　
Twitterでドラフトイベント「VD4B」「ヨソドラ」を主催。雑誌／野球太郎のモックドラフト立案者。主に打撃を得意分野とし、中学生を中心とした野球指導にも携わる。ツイッターIDは@arai_san_28。